【男子バレー】世界バレー敗退で小野寺太志が見せた静かな闘志 「高さで劣る分、必要なのは...」 (2ページ目)
【高さに苦しんだミドルブロッカー陣】
しかし驕らずにバレーと向き合ったからこそ、高さだけでなくオールラウンドな能力を極めたのだろう。戦術的ポジショニングなど含めて「ミスが少ない」と言われる世界有数のミドルブロッカーになった。
「特につなぎでミスをしない」
パリ五輪で日本代表を率いたフィリップ・ブラン監督は、小野寺のディテールを高く評価していた。
ネーションズリーグでは2023年に銅メダル、2024年は銀メダルを獲得した史上最強のジャパンで、小野寺は異彩を放った。パリ五輪は準々決勝で敗れたが、終盤に貴重なクイックを決めるなど、常に試合を動かした。
パリ五輪後、彼はこう誓っている。
「4年後のロス(五輪)を見据えていかないといけないって思っています。パリではメダルを目指して獲れず、悔しさが残る大会でした。ロスでリベンジじゃないけど、みんなが『メダルを獲れる』って言ってくれるチームを作らないと。そのためにSVリーグでも高みを目指して。あの舞台を、あのシーンを経験した選手は12人しかいないんで」
有言実行だった。昨シーズンは所属するサントリーサンバーズ大阪で、天皇杯優勝、SVリーグ初代王者を経験。この1年、ひとつひとつ積み上げてきた。
しかし、世界バレーでは失意の結果になった。
日本のミドルブロッカー全体が高さに苦しみ、彼自身も忸怩たる思いだっただろう。たとえばカナダ戦は、敵が高い壁を作っていた。カナダのブロックポイントは10点だ(日本は2点)。
「カナダのほうがサイズはあって大きくて、ブロックポイントやスパイクで劣ってしまう。日本人はサイズで劣る分、頭を使ったプレーをしていかないといけないと思っています。ブロック、スパイクで冷静な判断していかないと、高さで劣る分、ミドルというポジションは頭で戦う必要があって。そこが日本人ミドルに求められることだと思います」
日本は細部で優って勝利を重ねてきたが、この大会は相手が上回っていたか。敵ブロックに当たったボールがなぜか相手につながれる、そんなシーンも少なからずあったが、それは偶然ではあるまい。強かった日本はその奇跡を生み出していたはずだ。
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