【男子バレー】世界バレー敗退で小野寺太志が見せた静かな闘志 「高さで劣る分、必要なのは...」 (3ページ目)
ミドルは攻守の土台で、そこのディテールが狂うと命取りになる。
「バレーは相手があることなので、自分たちのプレーだけでどうこうってわけじゃなくて。相手のプレースタイルだったり、対応の速さだったり、ブロックディフェンス含め、チーム全体で対処しないといけない」
小野寺はそう言って、やや饒舌になった。
「今日の試合で言うと、とくに真ん中の攻撃に多く通されてしまった分、自分がいい展開を作れず、ディフェンスにもうまくつなげられませんでした。そこはミドルブロッカーとして、特に反省しないといけないところ。何より、追いつきそうな展開を作ったのはサーブの部分だと思うので、サーブで崩したあとのブロックディフェンスの対応の精度だったり、点につなげるチャンスを多く作る必要がありますね」
彼は丁寧に説明した。築き上げてきた日本スタイルをアップデートできるか。大事な役回りが小野寺に託されるはずだ。
「このメンバーで達成できなかったことを、来年もっと強くなった日本で成し遂げるため、悔しさを抱えながら過ごせればと思います」
小野寺は静かに闘志を燃やすように言った。
17日のリビア戦は消化試合ではない。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
3 / 3

