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【男子バレー】宮浦健人が黙々と研ぎ続ける武器 サーブは「まだまだスピードも足りていない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【西田有志に対する思い】

 本人は無駄口を叩かないし、自分を律したところがある。むしろ、寡黙なほうだろう。それゆえ、スパイクを決めたあと、咆哮(ほうこう)を上げる姿が剛胆さを映し出す。

 昨年の代表合宿だった。チームのジムトレーニングを密着取材をした時、リラックスした様子で冗談を交わしながら鍛える選手も少なくないなか、宮浦は黙々と取り組んでいた。その孤高さは、近寄りがたいほどだった。

「自分にとって、ウエイトトレーニングはとても大事。コンディション維持だけでなく、パフォーマンスを上げていくためにも欠かせないから、できるだけ自分のリズムで出し切る、限界を超える意識でやっています。だから周りに対する余裕がないし、必死になっちゃうんですよ」

 宮浦はそう言って、純然として笑った。その様子には"てらい"がなく、人懐こい。それも、周囲から好かれる要素だろう。

 新たに発足したティリ監督の体制では、石川祐希や髙橋藍などが合流する前のネーションズリーグで、エースとしてコートに立っている。ベストスコアラーランキングは5位で、チームの決勝ラウンド進出に貢献した。ロサンゼルス五輪に向け、前回のパリ五輪では西田有志をバックアップするオポジットだっただけに、期するところはあるはずだ。

 昨年のインタビューで、あえて質問したことがあった。

――パリ五輪では、同じポジションの西田選手が絶好調でしたね。

 宮浦は彼らしく、実直に答えた。

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