【女子バレー】石川真佑が牽引して世界バレー4連勝 準々決勝オランダ戦も「楽しみながら」 (3ページ目)
とりわけ、石川はハイセット(セッターの定位置から大きく離れた場所から、高く、時間に余裕を持たせて上げる高いトス)のボールを打ちきれる強さを持っている。少々パスが崩れても、それをねじ込める。角度や高さやタイミングにこだわったトスでなくても構わない。アンダーハンドでも、上がったパスを彼女は空中でアジャストさせ、打ちきれる。その技量は世界でも屈指だ。
下北沢成徳時代からハイセットを鍛えられた賜物だろう。イタリアで、世界の高さやパワーと戦いを重ねた経験で、アップデートさせた。コースを狙い、フェイントをかけ、ブロックアウト、あるいはブロックタッチへ持ち込む。多彩な攻撃で得点を決められる。
今大会、スパイクを決めて喜び合う様子は、無垢な少女のように映る。心底、バレーを楽しんでいるのだろう。
「プレーをしていて、楽しさはひとつ大事なことだと思っています。"自分が楽しくない、うまくいかないときは成長しない"って思っているので。勝負ですが、バレーを楽しみながらやっていきたいと思います」
石川は言うが、バレーを楽しむ彼女は無敵だ。
9月3日、日本は準々決勝オランダ戦に挑む。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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