【女子バレー】佐藤淑乃が握る世界バレー・オランダ戦のカギ そのサーブは「世界」に通じるか (2ページ目)
【強豪と勝負してきたこの1年】
「ヨシノ!」
フェルハト・アクバシュ監督は佐藤の名前を呼んで、そのプレーを称えるように拍手を送っていた。
佐藤がレフトからは鋭い軌道のスパイクを打ち込む。ロケットのように浮き上がり、右腕を鞭のようにしならせる。力の込められたボールには回転がかかり、激しくコートに叩きつけられた。
「練習のなかでもブロックをしっかり見て、打ち分けることはやってきましたね」
佐藤はそう言って、世界女王との戦いに向けても余念がなかった。彼女は3年前にも世界選手権を経験したが、当時から大きく成長を遂げていた。
「3年前の世界選手権を経験し、『もう一度代表で勝負したい』という思いがありました。ただ、当時の代表選手たちとは自分と比べて差を感じたし、Vリーグ(現在のSVリーグ)や世界で戦う選手たちと比べて、大学にいる自分の差が開いていく気がして、『もっと早く成長したい』と焦りました。でも、NECに入って想像した以上にいろいろな経験をし、成長できたと思っています」
今年のネーションズリーグ(VNL)でも、佐藤は大卒1年目としては上々のスコアだった。VNLのベストアタッカーズ賞では190点で4位(2位が和田由紀子の208点、3位が石川真佑の192点)、ベストサーバーズ賞でも5位だ。
「(VNLでは)世界でも、サーブは通じるなって思いました。個人的にはバックアタックも武器になっているかなって。どんな状況で入っても"攻める"って姿勢は出し続けることができました。課題は、前衛での攻め方のバリエーションで、すごく身長が高い相手、2メートルもある選手に対し、どう攻めるのか。そこは空いたコースをしっかりと見つけてコントロールするとか、課題はあると思います」
昨シーズン、佐藤は2024アジア女子バレーボールクラブ選手権優勝に貢献し、アジア女王として大会MVPに選ばれている。世界クラブ選手権にも出場し、イタリア、ブラジルの強豪と真っ向勝負を演じた。この1年、「世界」との遭遇を重ねてきているのだ。
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