【女子バレー】佐藤淑乃が握る世界バレー・オランダ戦のカギ そのサーブは「世界」に通じるか (3ページ目)
その点、世界バレーでも彼女が活躍しているのは驚きではない。むしろ、準々決勝から先でその真価が問われる。1次リーグのセルビア戦は攻める姿勢は悪くなかったが、サーブの効果率(サーブの総合的な有効性を数式にあてはめた数値)はマイナス40%と低すぎた。メダルに近づくには、彼女のサーブはひとつのカギをとなるだろう。
大会前のインタビューで、日本女子バレーを背負ってきた木村沙織もエールを送っていた。
「石川選手と佐藤淑乃選手のふたりは、今までの代表のなかでも打ちきって得点にする力を持っているので期待したいです。ふたりともサーブがいいので、サーブで得点を取りにいけるのは頼もしい。今までは、点差がついてしまうとなかなか追いつけませんでしたが、石川選手、佐藤選手とサーブから得点できる選手がいるだけに、みんなで拾って頑張っていれば、それも不可能ではありません」
あとは、どこまで連戦を戦えるか。勝負が続くほど、消耗も激しくなる。ただ、佐藤は勝利の算段を整えていた。
「自分たちのなかでもそこは課題に捉えていて。連戦が続いた時、全員の疲労がたまってしまうところはあります。そこで少しずつプレーにズレが出ているので、修正できるように」
佐藤が爆(は)ぜることで、日本女子バレーはさらなる脚光を浴びるだろう。
9月3日、決勝トーナメント1回戦で女王セルビアを下したオランダとの準々決勝はひとつの山場となる。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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