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【女子バレー】石川真佑が語る世界との差 悔しいパリ五輪から1年、日本の強みを「もう一段階上げられたら」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【世界に勝つための"手札"】

 8月13日、都内。バレーボール日本女子代表は、22日からタイで開幕するバレーボール女子世界選手権(世界バレー)に向け、精力的に調整を行なっていた。

「相手の状況をしっかり見て!」

 コートに立つ選手に向け、フェルハト・アクバシュ監督の熱いゲキが飛ぶ。その声に応えるように選手が声を出し、活気は増幅した。

 そのチームのキャプテンで、エースとも言える石川真佑は、気力に満ちた様子でコートに立っていた。強豪チームとの対戦を想定し、男子大学生が入ったブロックにシャットアウトされたあとだった。精悍(せいかん)な顔つきをあえて柔らかくし、トスを上げた選手に対して右手の人差し指を上げながら"もう少し上で"という口の形をした。集中した様子でトレーニングと対峙していた。

公式練習で笑顔を見せた石川 photo by YUTAKA/アフロスポーツ公式練習で笑顔を見せた石川 photo by YUTAKA/アフロスポーツこの記事に関連する写真を見る

〈改善し、進化する〉

 それは、石川がイタリア挑戦で続けてきた日常なのだろう。その練磨によって昨シーズンは、リーグではチーム最多344得点を記録し、CEVカップ(ヨーロッパカップ戦のひとつ)で優勝という結果を残した。今や堂々たる日本女子バレーの看板選手だ。

「VNL(バレーボールネーションズリーグ2025)が終わってから質の高い練習を重ね、今まで出た課題だったり、相手に対する対策だったり、少しずつ準備に入っているところです」

 そう粛々と語った石川は、世界バレーでさらなる進化を遂げる――。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

【写真】バレーボール女子・ネーションズリーグフォトギャラリー

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