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【女子バレー】石川真佑が語る世界との差 悔しいパリ五輪から1年、日本の強みを「もう一段階上げられたら」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「勝負どころで勝ちきらないと、上に行けない。やっぱりブラジルには強さを感じました。ポーランドも、ファイナルラウンドはホームならではの観客の一体感もあって......。

 ただ、自分たちが何もできなかったかというと、違うと思っています。あと少しの精度だったり、自分たちのミスが出てしまったり、そこの差はあまり大きくないかなって個人的には感じています。そこでの勝負強さ、たとえば"チーム全員で戦う"のは日本の強みだと思うので、そこをもう一段階上げられたらと思っています」

 そう説明した石川は、しっかりと勝ち筋を見据えていた。

「日本のバレーは繊細、丁寧で、そこは他の国のチームよりもいいところであり、ストロングポイントだと思っています。そこの一本一本の精度を上げられるかどうか。今のチームであれば、(スパイクを)打てる選手がたくさんいるので、セッターが(トスを)上げる精度でも大きく変わってくる。トータル的に少しずつ変えていければと思います」

 だからこそ、石川はこの日の練習でもトスの細部にこだわっていたのだろう。どんなトスも託された限りは打つ。しかし、そこの呼吸が合わなかったらメダルに届かない。

「世界バレーでメダル獲得に近づくためにも......VNLで出た課題もあるので、そこに向き合うことからひとりひとりの意識が変わってくると思います。世界バレーが次にもつながっていくはず。ロス(2028年ロサンゼルス五輪)に向けた土台作りとしても、全員がアグレッシブに戦えるようにしたいです」

 世界バレー、石川は手練れの女傑たちをねじ伏せる準備ができている。

(今の日本代表の「明るさ」を象徴するリベロ岩澤実育 高校の後輩でキャプテン・石川真佑を「親目線で」気づかう>>)

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

【写真】バレーボール女子・ネーションズリーグフォトギャラリー

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