清水邦広がSVリーグ1年目を分析 大阪ブルテオンは「いい意味でも悪い意味でも、劇的な成長がなかった」 (3ページ目)
「永露(元稀)選手がもっと自信を持って(トスを)上げられたら、よかったんじゃないかな、って。持っているものはすばらしいし、いい時はものすごくいい。でも関田(誠大/ジェイテクト)や大宅(真樹/サントリー)と試合をするときは、どこか自信がなさそうでトス回しも遠慮がちに見えました」
身長192cm。日本人セッターのなかで高さを武器とする永露は、ウルフドッグスでリーグ優勝(2022-23Vリーグ)も経験したセッターだ。日本代表にも選出され、SVリーグ初年度にブルテオンへ移籍し、レギュラーラウンドとチャンピオンシップの全試合でスタメン起用されフル出場を果たした。
常に重責を担うポジションでフル出場できたのは、信頼されているからこそ。それでも自信なさげに見えたのは、永露の性格ゆえだろうと清水は語る。
「関田や大宅はクイックもパイプも自信を持って『打て』と上げているのに対して、永露は遠慮しながら『打って下さい』と上げているように見えました。元々、永露はすごく優しい性格で、それが長所でもあるんですけど、試合では気を遣いすぎて短所にもなる。ブルテオンはいいスパイカーが揃っているから、多少乱れてもカバーしてくれる。もっとできたのに、という思いはずっとありました」
その時々で、もっとこうしたほうがいいのではないかと思うことはあったが、チーム最年長の自分が言うことで、崩れてしまうかもしれないとあえて言わずに見守っていた。そして、今季の全日程を終えたアジアクラブ選手権のあとに、清水は永露に思いを伝えたという。
「もっと自信を持ってプレーしたほうがいい。優しさはすごくいいことだけど、遠慮しないで自分をもっと出せばいい。そうしたら絶対、もっと伸びるから」
永露は今季限りでブルテオンを退団し、5月27日には広島サンダーズへの入団が発表された。来季はまたライバルとして戦うことになるが、清水は変わらず期待を抱く。
「一番伸びしろのあるセッターだと思うし、もっと一緒にやってアドバイスもしたかったし、成長を見たかったです。(大阪ブルテオン前監督で日本代表監督に就任した)ティリ(・ロラン)さんも期待していると思うから、代表でも頑張ってほしいですね」
課題を指摘しながらもそれ以上に「もっとできる選手だから」と力を込める。清水の優しさが、何度も繰り返す期待の言葉から伝わってきた。
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