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西田有志にとってSVリーグ初年度とは? 「悔しさが残る」もバレーの魅力を全力で体現 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ライバルたちからの賛辞】

 天真爛漫な性格は、周りにもエネルギーを与える。

「Enthusiasm」

 ブルテオンのロラン・ティリ監督は西田について「熱意、やる気」という言葉で端的に表わしていた。

「西田は常に100%で、試合ですべてを出し尽くすことができます。たまにやりすぎるほどですが(笑)。いつもポジティブで、チームにとって重要な選手です」

 西田がコートに立つだけで、チームが活気を得て、力が湧き立つような気配が漂う。それは異能だ。

 パリ五輪、日本代表で西田と同じオポジットを争った宮浦健人は、昨年9月に行なったインタビューでこう語っていた。

「同じポジションは比較されますし、競争していかないと、とは思っています。でも、代表は試合が始まったら、チームが勝つか負けるか。僕はどういう立場でも、勝つためだけに最善を尽くします。同じポジションで出られる枠はひとつですが、今回のオリンピックは西田選手が本当によかったですし、僕はまだ力不足を感じました。西田選手は自分よりも身長が低く、世界のオポジットでもかなり低いほうで刺激になるし、学べることはたくさんあります。ただ、競争もしたいですね」

 西田は、「切磋琢磨したくなる」好敵手なのだろう。取材エリアでの彼は、報道陣に対して論理的に話そうと努める姿が印象的だが、コートでは境界線を作らない。とてもフランクだ。

 SVリーグ、チャンピオンシップ準決勝で戦ったジェイテクトSTINGS愛知のトリー・デファルコも、ポジティブな印象を語っていた。

「(コートでも言葉を交わしていたが)西田は人柄がいい選手で、コートでもフレンドリーな会話ができます。お互い、点数を取られたあとに怒るよりも笑い飛ばすほうで。1対1の対決で止めることができるか、というギリギリの戦いが楽しみでもあります」

 西田自身にとって、今シーズンが最高だったかどうかは、わからない。レギュラーシーズンで1位を勝ち取りながら、チャンピオンシップでは準決勝で敗退。たった2試合で、初代王者の座は逃した。

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