検索

【ハイキュー‼×SVリーグ】SAGA久光の荒木彩花は度重なる大ケガから復帰田中龍之介のように逆境を跳ね返す (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 荒木はそう明かすが、誰よりも"練習の虫"である。久光のチームメイトたちが目を丸くするほど、限界、それ以上まで自分を追い込んできた。だからこそ、ケガも多くなった。

 2021年、右膝外側半月板を損傷。2023年には右足首の靭帯を損傷。2024年には左手を骨折。それぞれ、復帰まで数カ月から1年かかる大ケガだった。コートに戻って調子が上がってくると、またケガをする。心は打ちひしがれた。それでも立ち上がってきた彼女は不屈だ。

「足首のケガは、OQT(パリ五輪予選)前で精神的にしんどかったです。膝もそうですが、足首はジャンプに影響するので時間がかかってしまって。左膝も手術していたので、十分に両足が使えない状態でした 。復帰してからも高さが出なかったですし、感覚が戻るのに1年以上かかりました」

 それでも、彼女はコートで夢を見る。

「ケガでつらくて、バレーから離れようと思った時期もあります。でも、『今だけの感情だから』と踏みとどまれました。もしバレーをやめたら、他の選手が活躍する姿を見た時に純粋に喜べるのか。そうはならない、と思いました。自分がコートに戻った姿を考えたほうがウキウキしたんです。自分からバレーを切り離したら、半端な人間になっちゃう。おかげで、今もバレーを続けられています」

 最後に訊いた。

――タイムマシンで5年前の久光に入団した日に戻り、自分に会えたら何を伝えますか?

「これまでのケガは防げるものだったとは思います。納得がいくまで練習しちゃうので、オーバーワークが多いんです。体が痛くても無視して練習していたので、『練習量のコントロールをしたほうがいいよ』って伝えるかもしれません。それを聞いた(5年前の)自分はどう答えそうか? 『そんなの関係ない!』って言うでしょうね(笑)」

 全力でバレーと対峙してきたからこそ、今の荒木がある。ふわりとした明るさは、強さの裏返しだ。

【荒木彩花が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力は?

「現実離れしていなくて、絶対にできないな、という技が出てこないところですかね(笑)」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る