髙橋藍「イメージが一番大事です」 SVリーグ「頂上決戦」前哨戦はサントリーが連勝 (3ページ目)
「(サーブは)ロペス選手に対する効果率は高かったのかなって思います。それで相手の攻撃枚数を減らせたし、サントリーはブロックにいい選手が揃っているので、貢献できたと思います。でも、今日は全員がよかった試合で、おかげで自分はレセプション、ディグに集中できました。他の選手が引っ張ってくれて、自分も気持ちが入ったというか」
髙橋はあくまで"チームの勝利"と強調していた。現代バレーは、組織が戦いのベース。それを揺るぎないものにするのがメンタルの部分だ。
「今は明日に対するイメージが一番大事ですね」
髙橋はそう言って、勝って兜の緒を締めていた。その緊張感こそ、「勝負の天才」と言われる所以である。
「今日はいい勝ち方で、自信を持っていいと思います。でも驕ってはいけないし、苦しい状況も想定しておかないと、押されたときに引いてしまうのはよくない。たとえリードされても、冷静に自分たちのバレーを組み立てられるように。自分たちのペースでバレーを展開するいいイメージを持ちながら、"リードされる、1セット取られる"というシチュエーションも頭に置いておくべきで」
バレーは、メンタル次第で天秤が一気に転ぶ。西田も、髙橋も歴戦の選手だからこそ、その怖さも面白さも知っている。
翌3月9日、サントリーはブルテオンに3-1で再び勝利した。25-20、26-28、25-21、25-19と、2セット目はデュースの末に落としたが、その後はうまく立て直し、前日の勢いを味方にしていた。その点、髙橋の読みどおりだったか。
一方、西田も17得点で、バックアタックは9得点と、飛行生物のように暴れ回った。サーブは5本失敗したが、それも際どいコースを狙い続けた結果だろう。攻めの姿勢は見せた。敗れたが、やはり首位チームのエースだ。
ふたりの勝負はまだつかない。4月にも再戦があるが、決着は5月のチャンピオンシップになるか。初代王者の座は譲れない。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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