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【ハイキュー‼×SVリーグ】アクアフェアリーズのセッター、安田美南の理想像は宮侑「スパイカーの力を最大限に引き出すトスが好き」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(32)

KUROBEアクアフェアリーズ 安田美南

(連載31:アクアフェアリーズ山口真季は、音駒のクロのブロックも参考に成長「100点の1点を取りたい」>>)

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「(バレー人生で)会心のセットアップ、という大袈裟なものはないですけど、自分が身長はある分、ネットを越えそうになったボールをトスできるのは強み。越えそうだと相手のブロッカーが飛んじゃうから、それを囮に(ブロックを)0枚にできると、『よっしゃー』ってなります」

 KUROBEアクアフェアリーズの安田美南(23歳)は、そう言って小さな顔に笑みを浮かべた。身長179cmのセッター。その組み合わせだけでハイスペックで、ツーアタックは強力な武器だ。

 図らずも、彼女はその期待と向き合うことになったのだが――。

 安田はバレーボール一家に生まれている。母は自分が通った高校のバレー部の卒業生で、ママさんバレーを続けていた。父は社会人でプレーし、小学生にバレーを指導していた。

「物心ついた頃からバレーボールに触っていました。勝手に(バレー人生が)進んでいった感じです」

 安田は小動物のように目を細めた。

「小学1年でバレーを始めたんですが、小3で本格的に"毎日バレー漬け"のチームに入団したので、そこが原点ですかね。監督は怖くて怒られもしたけど、同時に楽しくて、バレーがうまくなる感覚がありました」

 スパイクよりも、セットが楽しかったという。小学校では身長もそこまで高くなく、トスを決めてくれる幸せを感じた。中学では身長が伸びたが、続けてセッターもやったことがその後の糧になった。

「セッターをやらせてもらったのはありがたくて、それがなかったら今、ここにはいなかったかもしれません」

 彼女は感慨深げに言う。高校からはセッターひと筋だ。

「自分の場合、『このトスを打って』というより、『決めてくれたアタッカーのおかげ』と思うタイプですね」

 安田はそう言うが、トスで運命を動かしてきた。高校時代から、長身セッターとして将来を嘱望された。2020年には古賀紗理那を擁していた強豪NECレッドロケッツに入団したが、常勝の重圧はすさまじかった。

「自分でも『やらなきゃいけない』と思っていたし、監督や周囲から期待されているのはわかったんですが、その重みが重なって......」

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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