古賀紗理那の背番号2を継ぐ新エース、春高バレーを制した大友愛の娘も 今後の日本女子バレーを背負うスターは? (3ページ目)
【高校世代にもスター候補が揃う】
そして、古賀がいた時代を継承する選手もいる。
「(古賀)紗理那さんとはチームでも、代表でも一緒にやらせてもらって、存在の大きさは自分が一番実感しています。代役と言うのかはわかりませんが、誰かが(女子バレー界を)引っ張っていかないといけない。自分がやっていく気概はありますが、バレーはひとりではダメなので」
そう語った山田二千華は、NEC川崎の連覇に大きく貢献したミドルブロッカー。古賀とは代表でも、東京五輪、パリ五輪など多くの国際大会を戦った戦友だ。1月25日に行なわれた「SVリーグ オールスターゲーム」では、女子部門のファン投票で最多得票を獲得している。
「今は誰かひとりが飛び抜けている実感はありません。リーグ全体のレベルは高いので、それぞれが強みをもっと示していけるようにしたい。SVリーグではチームも新しく、立場も変わってトライすることも多いので、"挑戦の年"だと思っています。今シーズンの積み重ねこそが次の代表につながると思うので、1試合1試合を大事にしたいです」
SVリーグは、レギュラーシーズンだけでも44試合と長丁場だ。上位チームによるチャンピオンシップを含めた激闘の末、スターは誕生するのか。
さらに若い血も躍動している。
今年の春高バレーで共栄学園を優勝に導いた秋本美空は、元日本代表・大友愛の娘だ。オールラウンダーで非凡なアタッカーは大会最優秀選手に選ばれ、注目を集めている。卒業後は、SVリーグで旋風を巻き起こすヴィクトリーナ姫路への入団が決定した。
共栄学園に決勝で敗れた下北沢成徳のエースで、超高校級のパワフルなスパイクが持ち味のイェーモンミャは、デンソーエアリービーズに入団。まだ卒業後の進路は明らかにされていないが、昨年の春高バレーのMVPで、就実で1年時からエースを張る福村心優美も注目の選手だ。
そんな後輩たちの目標となるだろう佐藤は、凛として言う。
「サーブを打つ前は声援が聞こえてきます。やっぱり、パワーになりますね。(コロナ禍を経て)大学からSVリーグに入り、応援してもらえる環境があるおかげで頑張れるし、プレーに勢いがつきますね」
女子バレー界の新スターは、熱気のなかから生まれる。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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