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女子バレー日本代表・宮下遥があらためて振り返る現役生活 印象に残った3つのシーン、人生を変えた人とは? (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

――セッター・宮下遥の"初陣"ですね。ふたつ目はいかがですか?

宮下:ふたつ目は、Vリーグのデビュー戦ですね。

――2009年の11月28日に行なわれた、久光製薬スプリングス(現SAGA久光スプリングス)との試合ですね。Vプレミアリーグ史上最年少出場記録の15歳2カ月のデビューで注目されました。

宮下:いつもテレビで見て、「かっこいいな」と思っていた日本代表の選手など、応援していた選手がネットの反対側にいるのは不思議な感覚でした。監督から「挑戦してみないか」と声をかけていただいた時は、セッターを始めてからまだ3年も経っていなくて、「今の自分がどれだけ日本のトップレベルで通用するんだろう」という楽しみな部分もありました。

 でも、すごく大きな会場でたくさんの人に見られますし、テレビ中継もあるということで緊張感も当然ありました。そうして初めて立ったコートで、おそらく見ていた人が一生忘れないだろう"事件"が起きてしまって......

――チームメイトと交錯して前歯を2本折った場面ですね。鮮烈でした(笑)。当然ですが、痛かったですか?

宮下:かなり痛かったです。でも、痛いという感覚がなくなるぐらい、「15歳で前歯が欠けちゃって、一生このままなのかな」「この先、口を開けられなくなっちゃうかも。どうご飯を食べるんだろう」とか、いろんなことが頭のなかをぐるぐるしちゃって。未来への恐怖を感じました。

――ちなみに、前歯はどうされたんですか?

宮下:普通に差し歯にしました(笑)。でも、試合が終わってもホッとする間はなかったです。デビュー戦ということで記者会見もあったんですが、血が出て真っ赤になった口を押さえながら、ボロボロ涙がこぼれて。そのあと、今は男子の日本代表のドクターをされている荒木大輔先生に車で病院まで連れていってもらい、本当に緊急だったので軽く手当てだけしてもらいました。すごい1日でしたね。

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