パリオリンピック女子バレー 初勝利のケニア戦の細部に見えた日本の現実と確かな希望 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 結局、3セット目も25-12と大差で取った。日本は実力の一端を世界に示したと言える。

「初めから厳しい予選になるとは思っていました。やはり、ポーランド戦は勝ちたかったですね」

 眞鍋政義監督はそう言って悔しそうに口元を歪め、パリまでの道のりを振り返った。

「私のミッションは、パリオリンピックの出場権を獲得する、でした。そのために2年3~4カ月やってきて、ほとんどの選手が初めてオリンピック予選を戦い、1カ月半という長丁場のネーションズリーグで出場権を勝ち取ってくれました。それは大きな成果だと思います。ただネーションズリーグが終わり、本大会まで1カ月ちょっと。2回目のピーキングに持っていくのは難しいというのが正直な感想です」

 眞鍋監督は、選手たちを庇うように言った。

「去年、出場権を取っておかないと本大会は厳しかったですね。世界との差に関しては、中長期ビジョンが必要かもしれません。国内でも最高峰のSVリーグが始まり、高いリーグレベルを経験できるはず。最後は選手たちに言いました。『世界で一番練習してきた。最後ぐらい、楽しく明るくいくのはどう?』って」

 女子バレーは賞賛されるべき戦いをしてきた。念願のパリ五輪、最後に何か足りなかったのかもしれない。しかし、それはチームに残る者が挑むべき課題だ。

「(6日の)準々決勝、可能性がある限りは準備して待ちます」

 選手たちは言った。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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