男子バレー日本代表はパリオリンピックでメダル獲得に期待 福澤達哉が語る石川祐希やミドルブロッカーなどの進化 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

【VNLで感じたチームの進化】

――ほかにチームの進化を感じた部分はありますか?

福澤 劣勢を巻き返す力がついてきたことでしょうか。特に20点以降でも慌てず、粘ってセットを取りきるシーンがたくさん見られました。その起点となるのはレシーブやつなぎ。「追い込まれているのに気づいたら勝っている」という、トップチーム特有の底力がありましたね。レギュラーラウンド第3週のフランス戦で、2セットを先取されてからの大逆転もそうでした。

 勝ち方が明確になって、選手たちも自信を持っているんだと思います。ピンチの時にチームとして「立ち返る場所」があるのは大事。ずっと「誰が出ても強い、同じ約束事のプレーができる」というコンセプトを掲げてきて、それがより高いレベルで展開できるようになってきたと感じます。

――レギュラーラウンド第3週の途中で、髙橋藍選手がケガの影響で欠場となりましたが、大塚達宣選手などがその穴を埋めましたね。

福澤 それも「誰が出ても」というところですよね。大塚選手は、サイドアタッカー陣のメンバー争いが激化し、結果を出さないといけないプレッシャーがあるなかで、十分に持ち味を発揮しました。特に第2週のポーランド戦をきっかけに大会中に成長していきましたね。

 レギュラーラウンド終了の時点でパリ五輪メンバーが発表され、彼も選出されたことによって覚悟が決まり、ファイナルラウンドでも高いパフォーマンスを発揮できたんだと思います。東京五輪以降、主要な試合では石川選手と髙橋選手がスタメンで起用されることが多かったですが、途中出場の試合でも結果を残してきた。日本代表としてプレーする責任との向き合い方なども含め、試合を重ねるなかで技術的にもメンタル的にも成長し、"欲"みたいなものも出てきた。それがいいプレーに結びついています。

 大塚選手だけに限らず、多くの選手が「与えられたチャンスをモノにするんだ」という意志の強さを見せ、「どう成長につなげようか」といった試行錯誤をしてきたからこそ、ここまで選手層が厚くなったと思います。オリンピック前に大塚選手がもう一段階成長したことで、さらに総合力がアップしましたね。

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