ネーションズリーグ予選で古賀紗理那は成長を実感 楽しみながら準決勝ブラジル戦へ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【チームの課題を次々と挙げていった】

「コンビのところで、私のタイミングの入り方もあるんですが......。(セッターの岩崎)こよみさんのセットで、下から来るトスは落ち際を叩くことになるから、結局、高いところで打てないので。このまま(と動作をつけながら)トスが上で飛んでいる最中に(打てるように)。少しずれてもいいから、私の(スパイクの)"通過位置"だけ気にしてトスを上げてほしい、と言いました」

 古賀は誰に対しても、堂々と要求する。決して妥協はしない。そこに、彼女のエースの矜持があり、覚悟が滲む。

「チーム全体で、"クイックの出現率をもっと上げたいな"と思っています」

 彼女は言う。

「クイック、バック(アタック)がそれぞれ単体になっているので、もう少し連動させて、いっせいに入るというか。最初はそれができていても、疲労がたまってくると、どうしてもトランジションが遅れちゃっているので、そういう時こそタフに、いっせいに入り込む形を作りたいですね」

 お互いが消耗した後に、勝負の分岐点はある。そのタフさを、彼女は淡々と求める。彼女自身も、それを請け負う準備ができている。

「パスが苦しくなって上がって来るところもあると思うんですが、そこを私が決めきる、打ちきるって思っています。トスが本当に苦しいときは、無理せずにもう一回、スパイクチャンスを見つけて打つ。私も熱くなってくると、先に入りすぎちゃったりするんですが、それぞれのセッターと(タイミングを)合わせられるように」

 古賀は心底、バレーを愛しているのだろう。どうしたら勝てるのか、そのアイデアや課題が次から次へと湧き出てくる。それだけ、人生を懸けて戦っているからだ。

「(ネーションズリーグは予選を通じて)大変だったけど、楽しいというか、楽しみで。"古賀紗理那史上"一番必死な大会でした」

 古賀は口元だけの笑みで言った。

「1週目(トルコ・アンタルヤ大会)から、ひとりだけ空回りしているんじゃないかっていうくらい、必死にやっていました。その分、きつかったのかもしれないですが、"必死な自分もめっちゃカッコええやん"って(笑)。中国(・マカオ大会)から無敵モードに入って。"私、こんだけ練習したんやから、うまくいかんはずない。こんだけ走って、こんだけトレーニングを積んだし、たくさん練習してきたから"って。そこで急に気持ちも楽になって、楽しかったです。"自分、成長しているな"って思いました」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る