日本代表リベロ西村弥菜美が語った五輪シーズンならではのポジティブ要素 Vリーグ佳境へ (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 そう語ったのは、日本代表リベロの西村弥菜美だ。

 今シーズン、西村は全22試合フル出場で、Vリーグのサーブレシーブ賞を2年連続で受賞している。リベロとして五輪を目指す代表に選ばれ、外国人選手の高さやパワーを体感し、成長スピードが上がった。守りありきのリベロは「ミスを取り返せないポジション」とも言えるが、マインドセットが安定し、精度がアップ。埼玉上尾戦の第4セットでは苦しい場面でスパイクを連続で拾い、逆転への橋頭堡(きょうとうほ)を築いた。

――オリンピックシーズンは注目を浴びますが、自分の力を引き上げるきっかけになっていますか?

 筆者の質問に、西村はこう答えている。

「オリンピックシーズンでリーグ自体が短期間になっていて、だからこそ、というわけではないですが、1戦1戦が本当に大事で。上位6チームに入る1戦の重みは短い分、大切だった感じです」

 濃厚な時間を過ごし、成長を遂げたということか。それぞれがチームの中で役割があって、逆境に打ち克ち、何かをつかみ取るポジティブな作用を生み出している。 

「チームから代表メンバーが出るのは嬉しいです」

 そう語ったのはベテランの栄だ。

「濱松(明日香)、荒木(彩花)という若手が代表に入るのは嬉しいし、幸せです。若い選手がもっと代表に行ける手助けを少しでもできれば。彼女たちの成長につなげられるように頑張っていきたいです」

 その献身があるからこそ、強さは受け継がれる。オリンピックシーズンは、ひとつの継承の節目になるのだろう。V1リーグはこれから佳境に入る。
 
 

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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