日本代表リベロ西村弥菜美が語った五輪シーズンならではのポジティブ要素 Vリーグ佳境へ
リーグ優勝を懸けたV1女子ファイナルステージが2月24日から始まる。クォーターファイナルの組み合わせは久光(レギュラーシーズン3位)対トヨタ車体(同6位)、埼玉上尾(同4位)対デンソー(同5位)となる。
その日、SAGAアリーナにはYOASOBIやAdoなど人気歌手のヒットソングが流れ、そのリズムに合わせて、大勢の観客が手拍子を鳴らしていた。モニターに映し出されたチームマスコットが振り付きで踊るのを、一生懸命に真似る幼い女の子もいた。とても賑やかでエネルギッシュで、若々しい空間だった。
2月11日、久光スプリングスは本拠地の佐賀に埼玉上尾メディックスを迎えていた。レギュラーラウンドの最終戦で、4000人以上が集まった。
「GO SPRINGS!」と、大音量ステレオで掛け声がアナウンスされると、会場に熱気が満ちる。だが殺伐とした感じはない。家族連れや友人同士が多く、アットホームだ。
会場と一体となる後押しを受けた久光は第1セットを先取するも、第3セットでリードを許す。しかしフルセットに持ち込み、劇的な逆転勝利を収めている。レギュラーシーズンはこれで18勝4敗の3位。2月24日から始まる上位6チームによるファイナルステージ、クォーターファイナルに進出し、2シーズンぶりの優勝を目指す。
今年は7月にパリ五輪が開催されるため、女子V1も変則的なシーズン日程になっている。その五輪は6月、福岡で行なわれる「ネーションズリーグ」を戦った後の世界ランキングで出場権を争うことになる。
オリンピックシーズンにVリーグを戦う女子選手たちは湧き上がる熱量をどう転換しているのか。
Vリーグのサーブレシーブ賞を2年連続で受賞した西村弥菜美(久光スプリングス)photo by YUTAKA/AFLOSPORTこの記事に関連する写真を見る 過去10シーズン、久光はVリーグ6度の優勝を誇り、日本女子バレーボールを牽引してきた。
埼玉上尾戦では、日本代表でも活躍してきたオポジット、長岡望悠の"エースの輝き"は圧巻だった。サウスポーから繰り出すスパイクは強烈。相手にペースを奪われそうになると、バックアタック、フェイントを剛柔で駆使し、流れを引き戻した。セッター栄絵里香からのバックトスを信じて跳び、渾身を左腕に伝えて振り下ろす一撃は、敵に絶望を与えていた。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。