日本代表リベロ西村弥菜美が語った五輪シーズンならではのポジティブ要素 Vリーグ佳境へ (2ページ目)
【総力戦がひとりひとりの力を高めた】
長岡は膝前十字靭帯断裂と格闘しながら、チームをリードしている。そのケガは完治後も日常的につきまとう難儀なものだといい、それに立ち向かう精神的タフさは尋常ではない。チームが信奉する「粘り強く不屈な戦い」というスタイルにも結びつく。
「ホーム最後の試合、ファンの皆さんの力をいただいて、思う存分できました。これを次につなげ、いい流れになるように持っていきたいです」
長岡はそう言って熱戦を振り返ったが、周りの選手たちも意気に感じていたはずで、その熱を力に換えられるからこそ、彼女たちは強いのだろう。
たとえば中川美柚はコート脇で出番を待ちながら、味方の得点が決まるたび、体を弾ませていた。喜びのダンスでハイタッチをし、小さく跳ねて投げキッスを送り、とことんチームを盛り上げる。コートに立っているのと同じ熱量だった。そしていざコートに立ったときは、ひとつに束ねた長い髪を揺らし、貴重なスパイクで得点した。
また、ルーキーの北窓絢音はコートの隅で重りを持ち上げて肩をならし、縄跳びで体を動かし、実直な鍛錬を重ねていた。なかなか出場機会は巡ってこなかったが、リリーフサーバーとしてコートに立つと、守乱を起こすサーブを決めた。
「今シーズンは中川、深澤(めぐみ)、そして後半になって北窓も出せたのは大きな収穫です」(久光・酒井新悟監督)
総力戦がひとりひとりの力を高めた。
「1シーズン、試合を重ねていくことでチームを作ってきた感じです」
長岡もそう明かしている。
「(シーズン)後半になるにつれ、(主力で)出ているメンバーだけではなくて、(控えで)これからの選手の活躍でも、勝利が増えてきています。そこはプラスで。チームとして成長できているって思います」
ひとりひとりの戦いの結晶が、その先につながる。
「個人的に今シーズンは、ディグ(強打をさばくレシーブ)に力を入れてやってきて、シーズン最初の頃よりも、"ボールの勢いを殺す"のを意識できるようになりました。試合を重ねて変わってきたなって思います」
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