元女子バレー日本代表・栗原恵が「眞鍋ジャパン」のアタッカー陣を評価。右手手術を乗り越えたセッター籾井あきも「またチャンスがある」 (4ページ目)
――続いて、課題として指摘されることが多いミドルブロッカーについて。世界バレーでは、本来アウトサイドヒッターだった宮部藍梨選手が担う試合もありました。
栗原:ミドルは、長く荒木絵里香さんという絶対的な強い選手がいたので、そんな選手が抜けたあとに少し見劣りしてしまうことは避けられないものです。でも、世界バレーでは山田二千華選手がいい活躍をして、ミドルにもかかわらず15点以上挙げる試合もありました。最後、準々決勝のブラジル戦では19得点。試合は負けましたが、いい形で次につながるでしょう。
宮部選手も、ミドルで代表に入れるかもしれないということが、いい意味で刺激になっているんじゃないでしょうか。なので、ミドルブロッカーについてもネガティブな見方はしなくていいと思います。
――栗原さんが日本代表でプレーしていた時よりも、チーム全体の「高さ」は少し低くなっていると思いますが、その点についてはいかがですか?
栗原:選手個々の技術はすごくしっかりしていますし、サーブレシーブからの展開の速さは世界に通用している部分がたくさん見られました。身長のハンデは、そこまでウィークポイントには感じなかったです。
ハイセットの打ち合いになって、相手の高いブロックが2枚揃ってしまうと厳しい部分はあります。ただ、それは代表戦にはつきもので、これまでも「高さ」「パワー」については差があると言われてきた部分ですから。そうさせないような展開に持っていって、日本がやりたいバレーができれば十分に戦えるはずです。それをやることが、一番難しいんですけどね(笑)。
――各選手が現在プレーしているVリーグは、1月22日現在でJTが首位ですが、NECレッドロケッツが迫ってきていますね。
栗原:JTは大崩れしないチームですが、NECは状態がいいですね。開幕当初は、世界バレーに出ていた古賀選手や島村春世選手が出場していませんでしたが、やはり2人が出ると強い。昨年12月に決勝が行なわれた皇后杯もNECが優勝しましたし、Vリーグもさらにこれから面白くなりそうです。あとは、東レアローズなどがどこまで追い上げられるかですね。
――東レはリーグのレギュラーシーズンはよくても、ファイナルの最後でトップは獲れないということが続いていますね。
栗原:そうですね。でも、黒後愛選手もチームに戻ってきて、また面白くなっています。なかなか勝ちきれない経験がある選手が多ければ多いほど、土壇場でチーム全体が力を出しやすくなることもありますからね。籾井選手の話題の際にも話しましたが、苦しい経験はのちに、形になってプラスに働くものです。そういう意味でも、他のチームにとって東レは怖い存在だと思います。
ここで話すことができなかったチームや選手も、今年はパリ五輪の予選がある大事な年ですから、存分に力を発揮してリーグを盛り上げてほしいです。
【プロフィール】
栗原恵(くりはら・めぐみ)
1984年7月31日生まれ、広島県出身。小学4年からバレーボールを始め、三田尻女子高校(現・誠英高校)では1年時のインターハイ・国体・春高バレー、2年時のインターハイ優勝に貢献。高校1年時に日本代表に初選出され、翌2002年に代表デビュー。2004年のアテネ五輪、2008年の北京五輪に出場した。2010年の世界バレーでは、32年ぶりに銅メダルを獲得した。その後、ロシアリーグに挑戦したのち、岡山シーガルズ、日立リヴァーレ、JTマーヴェラスでプレー。2019年6月に現役引退を発表した。引退後はバレーの試合での解説をはじめ、タレント活動など幅広く活躍している。
【著者プロフィール】
中西美雁(なかにし・みかり)
名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)、『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当
【画像】大友愛の娘や母校のエースも。栗原恵が注目した春高バレー2023で活躍した女子選手たち
4 / 4