元女子バレー日本代表・栗原恵が「眞鍋ジャパン」のアタッカー陣を評価。右手手術を乗り越えたセッター籾井あきも「またチャンスがある」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

――先ほど名前が挙がった、井上選手、石川選手はいかがでしたか?

栗原:井上選手は、さすがVリーグの2021-22シーズンMVPで、すごく上手でした。これまで日本代表にいなかったのが不思議なくらい安定した活躍をしていて、コートにいるだけで心強かったです。今シーズンはフランスリーグにチャレンジしているので、どんな選手に成長して帰ってくるのかすごく楽しみですね。

 石川選手は、初めは少し苦しい印象もありましたが、古賀選手がケガをして途中から起用された世界バレーの中国戦で表情が変わりました。プレーに吹っ切れた感じがあり、「行ける」という顔になっていたように見えました。持ち前の、ブロックをうまく利用したパワフルなスパイクも出ていましたね。特に、決して高くない身長ながらハイセットをしっかり打ちきれるのが最大の武器だと思います。成徳高校で身に着けた技術なのかなと思うのですが、早くからVリーグでも中心選手として活躍できている真髄を見せてくれました。

――この先、より成長が期待できる選手、代表に新しく入ってきそうな選手はいますか?

栗原:昨年度は関菜々巳選手が主にセッターを務めていましたが、東京五輪後に右手を骨折していた籾井あき選手にも期待したいですね。昨年5月に手術をした影響で、VNLは代表メンバーに入らなかった。リハビリを終えて世界バレーのメンバーに召集される前にJTに顔を出した際には、「練習期間も短いけど頑張ります」と話していて、実際に出場機会は少なくてもいいプレーを見せていました。

 今年はまたチャンスがあると思いますし、彼女が代表にフルでいる場合にどういうチーム構成になるのかも注目しています。眞鍋監督も世界バレー後、「籾井選手も使ってみたい。期待している」という発言をしていました。彼女はいいアタッカーが揃うJTで育てられ、優勝を2回経験し、東京五輪に出場と、22歳ながら経験豊富なセッター。それを存分に代表で発揮できることを期待しています。

――東京五輪は、籾井さんも奮闘していましたが、日本代表は25年ぶりに予選敗退と苦しみました。

栗原:籾井選手だけでなく、みんな苦しかったと思います。オリンピックはすごく難しい大会で、ひとつでも歯車がかみ合わなくなると、大会中に修正することが難しい。その苦しさを若い段階で知っていることは彼女の強みだと思います。

 セッターはコミュニケーションの部分も含め、チームを作る上で中心となるポジション。これから、さらに若い選手が入ってきた時に苦しかった経験を伝えられるし、実際にそういう場面になったら助ける側に回ることができるはずです。性格的にはすごくオープンな選手なので、彼女のよさをいい方向で伸ばしていけたら、チームにすごく明るい風が吹くんじゃないかと思っています。

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