「ラクに金を稼げる場所」だったVリーグに、世界トップクラスの外国人選手が集まる理由 (4ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

 ギャランティが魅力なのは間違いないだろう。バレーのトップリーグのひとつ、イタリアのセリエAでも、最高レベルの選手の年俸は約1億円と言われており、サッカーやMLB、NBAなどと比べると低い。日本のチームは年俸を公表していないため外国人選手の年俸も不明だが、「セリエAの平均年俸よりは高いギャラをもらえる」という話も耳にする。

 セリエAは全員がプロ選手で、外国人枠も多い。一方のVリーグはほとんどが企業の社員選手で、外国人枠が1、アジア枠が1と少ないため、そこに予算を集中できるという事情もあるだろう。

 また、海外のチームはギャラの未払いや遅延が日常的に発生するが、Vリーグではそういった心配がほぼない。多くの海外リーグは試合が週1回なのに対し、Vリーグは週2回(土曜と日曜の連戦)行なわれることが厳しい点とも言えるが、通訳もしっかりつくため言葉の不安も少ないだろう。

 パナソニックパンサーズのGMで、現在は日本男子代表の強化委員長も兼任する南部正司氏に、世界のトップ選手がVリーグでプレーする理由について聞くと、「やはりギャランティの未払いなどがなく、治安がいいこと。さらに遠征でも、海外のチームは前日にバスで長距離移動することが多いですが、日本だと試合の2日前に新幹線や飛行機で移動することが普通ですから、そういった点も理由のひとつかもしれません」と答えた。

 7月4日には、アメリカ代表のアーロン・ラッセルがJTサンダーズ広島に入団することが発表された。集客を増やすための演出、プロ化に向けた動きなどでは課題も指摘されるVリーグだが、世界最高峰のプレーを間近で見られることは大きな魅力のひとつ。10月に開幕予定の2022-23シーズンは、ぜひ会場に足を運んでみてほしい。

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