「ラクに金を稼げる場所」だったVリーグに、世界トップクラスの外国人選手が集まる理由 (2ページ目)
強豪ポーランドの元主将もプレー
そのムセルスキーより早い2016年からパナソニックパンサーズでプレーしているのが、Vリーグの"顔"のひとりであるミハウ・クビアク(34歳)。昨年度までの8年間、強豪ポーランド代表で主将を務めていた世界的なスター選手だ。東京五輪には直前の故障もあって思うようなプレーはできなかったが、世界選手権では2014年、2018年と連覇に導いている。
元ポーランド代表の主将で、パナソニックの中心選手として長く活躍するクビアク photo by 火野千鶴この記事に関連する写真を見る 身長192cmと男子バレー界では背は高くないほうだが、鮮やかでトリッキーなプレーでどこからでも得点ができる。性格は勇猛果敢で、試合中に主審に食ってかかる光景はバレーファンにもお馴染み。プレーと気持ちでチームをけん引し、2017-18、2018-19シーズンはパナソニックを連覇に導いてMVPを獲得するなど、チームの核となっている。
クビアクが日本に来ることになったのは、パナソニックの前監督である川村慎二氏が、2016年のリオ五輪最終予選で来日したクビアクのプレーにひと目惚れしたことがきっかけだった。川村氏は当時をこう振り返る。
「純粋にプレーを見て『ぜひ来てほしい』と思いました。できることなら自分も現役に戻って(13年間パナソニックでプレー。2014年に引退し監督に就任)、彼と同じコートでプレーしたかった。それくらい魅力的でしたね。
そんな時に、2015年まで東レ・アローズで7年間プレーして、引退した後に代理人をしようとしていた元セルビア代表のデヤン・ボヨビッチに『誰かいい選手いない?』と聞いたら、『クビアクはどう?』と言うんですよ。世界トップクラスの選手ですから、まさかでしたよ。すぐに連絡を取ってもらって交渉しました。
チームに合流してからは、すごくキャプテンシーがあることが嬉しい誤算でした。練習だけでなくふだんの生活からストイックな姿勢は、パンサーズの選手たちにいい影響を与えたと思います」
当のクビアクは、「『なぜ、レベルの低いVリーグでプレーするのか』という批判はたくさんあったよ。そんな人たちに言いたい。『Vリーグに来た結果、世界選手権を連覇できた』とね」と胸を張る。2022-23シーズンもパナソニックと契約を継続したクビアクは、まだまだクリエイティブなプレーで日本のファンを楽しませてくれるだろう。
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