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古賀紗理那に芽生えたエースの自覚。
Vリーグでも「世界を意識」 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

「今年度初めに『今年は黒後と古賀を育てる』ということを第一目標として、それは(世界選手権で)ある程度叶えられたと思います。とくに、苦しい場面でも使い続けた古賀はひと皮むけてくれた。まだコースが甘くてシャットアウトされることもありますが、弱気にならず思い切って打ちにいけていた。日の丸を背負う自覚も芽生えてきたように思います」

 3次ラウンドでイタリアに敗れ、メダルの可能性がなくなった後の会見にもかかわらず、中田監督は満足そうな表情でそう語っていた。古賀自身も、「試合にずっと出させてもらって、トスもたくさんあげてもらったので、責任と覚悟が必要だと実感できた大会でした」と手応えを掴んだようだ。

大会中にリラックスした表情を見せる場面も大会中にリラックスした表情を見せる場面も 大会で印象に残っている試合については「(2次ラウンドの)ブラジル戦と(3次ラウンドの)イタリア戦ですね。フルセットで勝てた可能性のある試合を取り切れなかったので悔しい」と振り返った古賀。大激闘となったセルビアとイタリアの決勝をテレビで見ていて、セルビアのエースであるティヤナ・ボシュコビッチのプレーに心を揺さぶられたという。

「イタリアはすごいスパイクを何本も上げていたんですが、ボシュコビッチ選手は止まらなかった。たぶん、『ここに打って拾われるなら、今度はここに打ってやろう』『打ち方を変えよう』といろいろ考えていたんだと思います。まさにチームの中心にふさわしい選手だなと感じましたし、私もそういう選手になりたいです。

(世界選手権では)私の調子が上がらない試合でも、久美さんは我慢して使ってくださったんだと思います。その久美さんの思いをしっかり受け取って、これからの国内リーグは常に世界を意識してやっていきたい」

 11月3日に開幕するVリーグに向けては、「NECは粘りのチームですから、粘り強く拾ってつないで、自分はしっかりと最後の1点をとる役割を果たしたいです」と意気込みを述べた後に、「NECの応援団は、10点と20点の得点をした時に『森のくまさん』がかかって踊るんです。みなさんにもぜひ会場に来ていただいて、一緒に踊ってほしいです!」と笑いを取ることも忘れなかった。

 今年のVリーグは、世界選手権でエースの自覚と覚悟が芽生えた古賀の、さらなる成長が見られるだろう。

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