負傷の木村沙織がフル回転! 全日本女子、リオ五輪出場決めた (3ページ目)
前回の2012年ロンドン五輪までは大黒柱のセッター竹下佳江さんがいての木村だった。でも、立場は替わった。いまは木村が21歳のセッター宮下をリードする。
その宮下にとっては、初めての五輪最終予選はきつかっただろう。緊張から解放されると、宮下は安堵の涙を流した。「手が震えていた」というタイとの激闘を乗り越えたからだろう、この日のトスさばきは冴えわたった。緩急があった。心がこもっていた。よくぞ、最後までトスをあげ切ったなあと思う。
記者と交わるミックスゾーンで、宮下は涙声でこう漏らした。
「自分で自分を褒めるわけじゃないですけど、がんばったなあと思います。何が何でも(五輪)切符がほしかった。どんな形であれ、切符が決定したのはすごくうれしい。やっぱり、仲間たちの思いの強さが大事な一本に出るんだなと強く感じました」
緊張感ある真剣勝負は、特に若者の成長を促す。宮下だけではない。この日、20歳の誕生日を迎えた古賀紗理那も、サウスポーの長岡望悠も飛躍させた。コートを離れるとシャイな24歳は小声でこう、漏らした。
「自分を信じ、仲間を信じていました。迷いはなかったです。すごく厳しくて、苦しい道のりだったんですけど、(五輪)切符を獲れて、やっとスタートラインに立てたなという気持ちです」
昨年引退するつもりだったリベロの26歳、佐藤あり紗は言葉に実感を込めた。
「バレーを続けていてよかったなあと思います」
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