【女子バレー】V・プレミアリーグ開幕、久光製薬の3連覇はあるか? (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 石山慎治●写真 photo by Ishiyama Shinji

 そんな久光の対抗馬の一番手としては、3季ぶりに木村沙織が復帰した東レでしょう。東レもやはり全日本メンバーが多い(木村・迫田さおり・中道瞳)ですし、久光が2連覇する前は、東レが3連覇しています。その時は沙織が中心となって3連覇し、彼女が海外に移籍していなくなって、久光が連覇した。だから、沙織が帰ってきてどうなるか、本当に見ものです。

 開幕戦で早くも対決して、フルセットまでもつれていますし、それぞれに、これまでリーグを制したチームとしての意地があると思いますから、特に直接対決は、ぜひ、みなさんにも見ていただきたいですね。

 沙織は、私も全日本でも長く一緒にやってきましたが、味方にすると頼もしく、敵に回すとやっかいな相手でした。勝負強さ、うまさを兼ね備えていて、本当に素晴らしい選手です。私が現役の時も、「沙織が(集中力が)切れてくれたらラッキー!」と思ってやっていましたね。逆に、こちらがリードしていても、沙織のサーブが回ってきて追いつかれたりすると胃が痛かったです。

 そして、今季リーグのダークホースはスバリ! 上尾です。プレミアに初めて昇格して、第1戦で見事に勝利を収めました。このチームの注目選手は、産休から現役復帰した、元全日本主将の荒木絵里香と、助っ人外国人選手のケリー・マーフィ。

 絵里香は、絶対にリオ五輪に間に合わせてくると思っていたので、この復帰後初勝利は大きかったですね。ともにミドルブロッカーの岩坂(久光製薬)と絵里香がきちんとこのリーグで活躍することができれば、全日本の戦術もまた変わってくるんじゃないでしょうか。

 また、マーフィー選手は、9月にイタリアで行なわれた世界選手権で優勝したアメリカ代表のオポジット。ワールドクラスのこの二人の活躍は、私も楽しみにしています。

 全日本で一緒に長くやっていたといえば、リョウ(佐野優子)ですが、彼女が昨季途中から加入したデンソーにも頑張ってほしいですね。2部落ちして、必死になって、また昇格して戻ってきたその勢いを、どこまでプレミアでも生かせるか。リョウは私の同期なんです。彼女は本当に守備範囲が広くて、数字に出ない貢献をものすごくしてくれる人。「任せられる」という安心感がある。隣にいてくれたらとても心強いと思います。

 昨季準優勝の岡山ですが、このチームは、常に「岡山らしさ」を持ち続けていますね。対戦チームから見ると、すごくやりにくい相手なんです。いつも淡々としたプレイで、離していたはずなのに、いつの間にか追いつかれて......ということが何度もありました。私が入社したときから引退まで、ずっとその印象は変わりません。選手が入れ替わっても、チームの色がはっきりしているんです。そういう意味ですごく安定したチームです。

 現在の岡山の中心は、もちろん全日本の司令塔の宮下遙と山口舞です。この二人のラインは見ていて安心できます。宮下は、全日本での活動を見ていても、昨年より今年の方がずっと上手くなりました。

 昨年は全日本の眞鍋(政義)監督の「ネットから離したトス」をなかなか受け入れられなかったそうですが、今年はそれを受け入れてみたとのこと。このことを見ても、技術だけでなく、精神的にも成長したことがうかがえます。「よいプレイ」というのは、正解が1つであるとは限らない。そのことがわかったのだと思います。

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