錦織圭を陰で支えた名トレーナーの証言「当時は体が後傾していた」 ひざの痛みを解消し、全米OP準優勝に貢献 (2ページ目)
【重心のチェックはトレーナーの仕事】
中尾氏はこう説明する。
「トレーニングといっても、ツアー中はファンクショナルトレーニングやコンディショニングが多くなります。
いわゆる『トレーニング』とは、重いウェイトなどを使い、筋量を増やすことを目的とする。対してコンディショニングは、体の動きのキレを上げるようなイメージ。ラダー・トレーニングなどが中心ですね。ファンクショナルトレーニングは、動きの効率を上げることを目的としたトレーニングなので、ウェイトは使いますが、重さは3kgや5kgくらい。
トレーニングメニューは、クレー(赤土)や芝などコートの種類に応じても少し変わります。たとえばクレーコートでは、土の上をスライディングしながらボールを打つことが多い。そこで全仏オープン前には、スライドボードを使い、滑りながら体幹を鍛えるメニューなどを取り入れました。逆に芝は、足もとが滑るなかでちゃんと止まらないといけないので、やるべきことも変わってきます」
そのように身体を鍛え、動きを磨くと同時に中尾氏が注力したのが、錦織が抱えていたひざの痛みの解消である。
「2012年当時の圭は左ひざに痛みを抱えていて、ひざにバンドを巻いていたと思います。それは、フォアハンドのフォロースルーの時に体が後傾していたためだったんです。そこで重心の位置を前方にし、フォアハンドを打ったあとにも体がうしろに倒れないようにしました。そうすることで、ひざへの負担が軽減したと思います。
ラケットの振り方などの技術面は、コーチの領分なので自分が変えるということはしません。でも重心の位置や下半身の使い方に関しては、トレーナーの仕事ですから。もちろん、コーチやほかのトレーナーとも情報共有しながら取り組んでいました。そのように重心を変えることで、ひざの痛みも徐々に薄れ、シーズン終盤ではほとんど消えていたはずです」
「これが2012年の1月。こちらが2013年10月......」と、中尾氏は錦織がフォアハンドを打つ動画をノートPCで再生する。ふたつを見比べれば、たしかに前者は打ったあとに体の軸がうしろに傾く。対して後者は打点が前方になっており、フォロースルー時も体幹がぶれずにバランスを崩すことがない。
2 / 4


