錦織圭の突然の申し出に地元コーチは冷や汗 「圭にケガをさせたら俺もスクールも吹っ飛ぶ」 (3ページ目)
【「ジュニアを見ましょうか?」】
「20代半ばの頃は、日本にいても、こっちにはほとんど帰ってこなかったんです。当然、自分の時間やツアーで勝つことが最優先だし、せっかくのオフだから、あえて顔を出す必要もないなと僕も思っていました。
それが、結婚して、子どもができた頃からですかね。すごく変わったというか、『人々のために、自分に何ができるだろう?』と考えたうえでの言葉や行動が、だんだん見えてきたんです。
特に僕がすごく驚いたのは、3年前。圭が股関節の手術をしてリハビリしていた頃に突然、連絡が来て。『僕、何日から何日まで帰るんですが、コーチ、何してますか?』って聞いてきたんです。
『いや、別に普通にレッスンしてるぞ』って話したら、『僕に何かできることないですか?』って言ってきたんですよ。もちろん、彼が手術したばかりということは知っていたので、『できることって、安静だろ』って言ったら、『ジュニアのレッスンとか見ましょうか』って。
『いや、圭も大変だろうし、うちもお金を払うほど余裕もないから』と言っても、無料で全然いいからと。いやいや、ケガとかさせたら、俺もこのスクールも吹っ飛んじゃうからやめてよと言っても、『大丈夫です、僕、立ってて、言葉をかけるだけですから』って。ただ、あくまでプライベートで自分の時間を使っているので、写真を撮ったりSNSに上げたりは一切なしでという約束で、本当に来てくれることになったんですよ」
錦織の申し出を飛び上がるほどうれしく思いながらも、焦る事情も十分に理解できる。万が一ケガでもさせたら一大事だし、今のご時世、情報統制も容易ではない。実際、錦織の名は伏せていても「特別ゲストが来ます」「クルマの混雑が予想されます」など通達すると、察する人は出てきた。
そして、当日──。クラブハウスから屋外コートへ続く階段を錦織が降りていくと、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。同時に、はしゃぐばかりでは時間がもったいないとばかりに、子どもたちは我先にとボールを打ち始める。
錦織は、そんな子どもたちの様子をうしろで眺め、時おりアドバイスも与えていった。だが、やがて......。
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