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錦織圭が「全盛期の10年前」と「35歳の今」との違いを痛感 目標はトップ50入り (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【基本みんな球が速いんです】

 ただ、2月に出場したATP500のダラス・オープン、そしてATP250のデルレイビーチ・オープンでは、いずれも初戦敗退。もっとも、この2大会では過密スケジュールも影響し、「フルでプレーできない」状態ではあったという。本人曰く「モヤモヤしたプレー」に終始したが、今回のBNPパリバ・オープンでは、開幕前の練習でも調子の上昇を実感していると言った。

 はたして初戦では、前述したように「納得のいくプレー」を取り戻し、表情にも光が射す。試合中に足をつる3時間の熱戦だったが、中一日で迎えた2回戦は「身体的には大丈夫」だったと言った。そこはもちろん、明るい材料。ただ、だからこそアンベールに「簡単なスコアでやられた」ことに、落胆している様子だった。

 アンベールとの試合後、錦織が幾度も口にしたのが「速さ」という言葉だ。

「やっぱりこのレベルになると、プレーの質が急に上がってくる。その速さに対応できてなかったというのと、相手が時間をくれないので、けっこうミスが出てしまった。

 ツアーで何回か試合をしてきて、もちろん選手によりますけど、やっぱりみんな速い。球が速い、展開も速い選手が増えてきているのは事実なので、それに慣れて対応していくしかないし、自分も変わらないといけないところもあるだろうし。

 そこを、こうやって対戦していくなかで学んではいるのかなと思いますけど、そこからもうちょっと、こう......変われたらいいですね」
 
 この「速さ」こそが、彼が全盛期で活躍した10年ほど前と、ここ数年の最大の変化だと、錦織はたびたび言及してきた。以下は、昨年10月時点での錦織の発言である。

「中国のシャン・ジュンチェン(20歳)だったり、ホルガー・ルーネ(デンマーク/21歳)だったりステファノス・チチパス(ギリシャ/26歳)もそうですけど、基本みんな球が速いんですよね。力があって、それでいて正確だし。

 ヤニック・シナー(イタリア/23歳)やカルロス・アルカラス(スペイン/21歳)なんて特にまた一段と速いと思うので、それに対して、どうしようかなっていうのは、日々ちょっと考えていますね。僕も、本当にスピード勝負したほうがいいのか、それをかわす方法があるのかどうか......」

 そう自分に問いかける彼は、「それはちょっと、まだ自分でもわかってないです」と続けていた。

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