錦織圭が5度目の五輪へ 初出場から16年...次代を担う後進は育っているのか (4ページ目)
【34歳の錦織にとって最後のオリンピック】
一方で若い世代に目を向ければ、2019年にウインブルドンジュニアを制した望月慎太郎(21歳)や、今年1月の全豪オープンジュニア優勝者の坂本怜(17歳)ら、若くして頭角を現す選手もいる。特に錦織が坂本の急成長について語った次の言葉も印象深い。
「急に強くなったなって本当に思います。少し前まではミスも多かったし、ストロークもしっかり打ててなくて、打ち合いにならなかった。それが本当に、ちょっとのきっかけであんなに強くなった。怜はサーブもいいし、あれだけのフォアが打てる。動きはもうちょっとですが、楽しみな選手です」
うれしい驚きを率直に口にする錦織は、こうも続けた。
「そういう点でも、本当に誰でもきっかけがあれば、急に強くなれると思う。島袋将(26歳)とか清水悠太(25歳)とか、しっかりプレーできるのに意外と200位とかにいる選手たちにも、チャンスがあるだろうなっていうのを、怜を見ながら感じます」
日本テニス界の常識を次々に打ち破った錦織は、巻き起こすつむじ風で同世代を引き上げ、進む背で後進たちに道を示してきた。
その彼も34歳。今回が最後のオリンピックになる可能性も高い。だとすれば、18歳の日に覚えた『国を代表するプレッシャー』を背負う必要など、もはやない。自分のために戦う姿こそが、次の世代へとつなぐトーチに、きっとなる。
著者プロフィール
内田 暁 (うちだ・あかつき)
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。
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