錦織圭「奇跡の9カ月」の再現なるか 復活への道のりで思い出す2018年の快進撃

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Kyodo News

【ファイナリストたちの5年後】

 この当時のフェデラーは37歳でなおトップフォームを誇ったが、その彼も昨年末、ついに栄光に彩られたキャリアに幕を引いた。

 昨年の全仏で足首のじん帯を損傷したズベレフは、今年1月に復帰。先の全仏オープンでベスト4に勝ち上がるなど、往時の輝きを取り戻しつつある。

 アンダーソンは、昨年3月に引退。

 ティームは2020年全米オープンで悲願のグランドスラムタイトルを手にするが、翌年に手首を損傷。7カ月後に公式戦に戻るも、復帰戦のATPチャレンジャーでは初戦で敗退。このあたりの足跡は、2018年初頭の錦織と重なるものがある。現在のランキングは89位。彼もまだ、かつていた高みへと戻る道なかばだ。

 なお、本来ならラファエル・ナダル(スペイン/当時32歳)とフアン・マルティン・デル・ポトロ(アルゼンチン/当時30歳)も出場するはずだった。だが、ふたりはいずれもケガのために欠場した。

 そのナダルは現在、今季初頭に負った臀部のケガのためツアーを離脱中。「来年がおそらくは最後の年」と引退をほのめかしている。

 デル・ポトロも、キャリアを通じ数多のケガに悩まされ、この4年間で公式戦に出たのは1度だけ。引退を囁かれながらも希望を捨てぬデル・ポトロだが、今年の全米オープンが最後だと示唆している。

 思えばこの5年間は、ここ20年ほどの男子テニス界を振り返った時、もっとも大きな地殻変動が起きた年月だったかもしれない。昨年、カルロス・アルカラス(スペイン)が19歳にして世界1位に君臨したのは、象徴的な出来事だった。

 錦織も2019年秋に右ひじにメスを入れ、1年近くツアーを離脱した。復帰後は着実に調子を取り戻したかに見えたが、2021年10月を最後にコートを離れ、昨年1月に股関節にメスを入れる。2022年はコートに戻ることなくシーズンが消え、その間、股関節は完治するも練習中に足首を激しくひねった。最終的にはそのケガが、予想以上に長引いたという。

 復帰に懐疑的な世間の声もあったなか、今回の優勝という結果は、そして本人が得た「今日のレベルだったら、ツアーでも戦えるくらいよかった」という手応えは、日本中のテニスファンを幸福にしたはずだ。

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