大坂なおみが吐露「以前の自分に戻りたい」。ある感覚に襲われると、豪快なフォアハンドが打てなくなってしまう (2ページ目)
大坂が会見で見せた動揺
「恐れ知らず」のニックネームを持つコリンズは、標的に食らいついたら離さぬ獰猛なまでの気迫で、大坂の甘いサーブを叩いてくる。
大坂のセカンドサーブでのポイント取得率は、常時20%前半。こうなると、ファーストサーブでは快調にエースを奪っているように見えても、その実、重圧を覚えていたのは大坂のほうだったろう。第1セットのタイブレ--クを、確率重視のファーストサーブを叩かれ奪われたのも、象徴的だった。
同時に、大坂がリズムを得始めたタイミングでスッとタオルを取りにいくなど、"間"の使い方もコリンズは巧みだった。ポイント間の25秒や、広いセンターコートの空間も含め、与えられたあらゆる状況や試合の余白を、コリンズは有効活用していた。
一方の大坂には、相手の心理や、置かれた状況を俯瞰する余裕はなかったかもしれない。
「全体的に守備的すぎたと思う。フォアハンドへの自信がなく、重心も常にうしろがかりになってしまった」
試合後に語られた言葉は、コートで示された現実のプレー以上に、彼女の内的なイメージを反映する。
実際には、深いボールに踏み込みハーフボレーのように跳ね際を叩くコリンズの攻撃性が、大坂を押し込んでいたように見えた。フレームショットがロブになるような幸運もコリンズにはいくつかあったが、それも、どんなボールにも食らいつく闘志があってこそだろう。
第2セットは、リスクを恐れぬコリンズにミスが増えた時間帯もあったが、それを大坂が生かしきれなかった時、試合の趨勢は決した。セカンドサーブをことごとく叩かれ、勝負どころの第8ゲームで大坂がブレークダウン。
最後は、大阪のリターンがベースラインを越えていく。スコアは、6−7、3−6。2016年に本戦デビューを果たして以来、大坂が全米オープンの初戦で敗れるのは、これが初めてのことだった。
試合後の会見での大坂は、試合内容や今後のプランを尋ねられても、明確な答えを持たなかった。泣くでも質問をはぐらかすでもなく、真摯に応じてなお動揺が隠せぬ点に、失意の深さがうかがえる。
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