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大坂なおみが吐露「以前の自分に戻りたい」。ある感覚に襲われると、豪快なフォアハンドが打てなくなってしまう (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

用意されていた大坂攻略法

 今後の目標を問う声には、幾度も口にしてきた「楽しむこと」の言葉を返した。

 では、今の彼女は何ができれば、「楽しい」と感じられるのだろうか?

 その問いに対する解は、明瞭だった。

「私にとっての"楽しい"状況は、窮屈に感じることなくプレーできること。ここ最近の私はなぜか、コート上で抑圧感を覚えている。

 その感覚に襲われると、自分の打ちたいようなショットを......特にフォアハンドが打てなくなってしまう。それが練習不足から来るものなのか、別の理由なのかは、わからない。でも、以前のように打ててないことは確か」

 だから......と、彼女は続けた。

「自信を持って、伸び伸びとショットを打てることが、私にとっての"楽しみ"なの」

 手のひらに残る、ボールを豪快に打ち抜いた時の感触と快感を、彼女は"楽しむ"の言葉に込めていた。

 その楽しさを取り戻すためのカギは、たしかにひとつは、彼女の内にあるだろう。

 ただもうひとつ、この日のコリンズに象徴されるように、周到に用意された大坂攻略法が彼女の伸びやかなプレーを封じている側面もあるはずだ。

 大坂が敗れたこの日、昨年の同大会優勝者のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)も1回戦で姿を消した。情報入手やデータ解析も容易な今の時代、一度頂点に立った者はあらゆる選手の標的となり、徹底的に分析される。

 今大会の開幕前の会見でも、大坂は「以前の自分に戻りたい」と口にした。だが、再び頂点を取るには、「以前」に戻るだけでは、おそらくは不十分だ。

 その現実に向き合い、新たな自分との出会いを目指した時、きっと次なるステージへの道は開ける。

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