大坂なおみが吐露「以前の自分に戻りたい」。ある感覚に襲われると、豪快なフォアハンドが打てなくなってしまう
「ダニエルは、相当に気合いが入っているらしいよ」
全米オープン大会2日目。ナイトセッションに組まれた大坂なおみ対ダニエル・コリンズ(アメリカ)戦が始まる前、米国人記者からそう耳打ちされた。
2度の全米優勝者の大坂と、今年の全豪オープン準優勝者であるコリンズの対決は、普通に考えれば、1回戦にはもったいない好カード。ただ、今回に関しては、あまりに不確かな要素が多かった。
大坂なおみの全米はわずか1試合で終わったこの記事に関連する写真を見る ここ最近の大坂は腰痛に悩まされ、前哨戦3大会で1勝しかできていない。
対するコリンズも、首の痛みで前哨戦はすべて欠場。今回の全米オープンは、約1カ月半ぶりの実戦だ。
現在のランキングだけ見れば、19位のコリンズが44位の大坂を上回る。
他方、過去の対戦成績に目を向けると、3回戦い、すべて大坂の圧勝だ。それらプレーの相性や自信面を考慮した時、大坂が若干の優位に立つかと思われた。
だが実際には、「3回戦い、すべて敗れている」という事実が、コリンズの勝利への渇望感を強めていた。
「過去3度負けている相手の情報は、十分に入手していた。自分がどの部分を改善し、何をよくすればいいのかも」
ツアーを転戦しながら大学院でスポーツ経営学も学んだコリンズの言葉は、過去の敗戦を徹底的に分析し、勝利を得るべくシミュレーションを重ねてきたことをうかがわせる。
その詳細を明かすことは、もちろんない。ただ、「なおみの最大の武器はサーブ」であり、「その攻略こそがカギ」という自明の命題を、コリンズはあっさり認めた。
「リターンのポジションを状況に応じて変えること。時にはいつもより下がり、時には上げて相手の時間を奪う。同じパターンを作らず、なおみに私のリターンを読ませないこと」
これらプランの実践に加え、コリンズが徹底したのは、セカンドサーブへのアタックだった。
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