伊達公子は大坂なおみのメンタルヘルス問題をどう思う。「選手にのしかかるダメージが大きいのは確か」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

---- それらの諸要素があるなかで、昨年の全米オープンでは当時18歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)が優勝しました。彼女の出現がテニス界に与える影響をどのように予想されますか?

「華のある選手の存在は、やはり重要だと思います。それこそ彼女は華のある選手だと思うので、女子テニス界にとってすごくプラス要素。まだ若いし、これからの成長段階でうまく階段を上っていけば、女子テニスがもっと注目を浴びる要素になり得るかなと思います。

 重要なのは、プレッシャーに押しつぶされることなく、その階段を順調にのぼっていけるか? そこがいちばん難しいところではありますが、でもなんとなく、彼女はうまくできるタイプのような気がします。根拠がある訳ではないですが、いろんなことのバランスが取れる人なのではと感じました。

 優勝スピーチにしても、まだまだ可愛らしい部分はありながらもナチュラルに成熟した感じで、型にハマった大人でもない。あの全米優勝の時にも、御両親は自分の仕事をやっていたので応援に来られないとか、すぐに連絡が取れなかったとか(笑)。そういう感覚や家族のサポート体制を見ると、ごく当たり前のことを当たり前として受け入れられる環境で育ったのかなと思いました。

 いろんな選択肢のなかから何かを選ばなくてはいけない時に、すごく狭いテニスの世界ではなく、この社会の物差しで判断できる家族なのだろうし、そのなかで育ってきたからこそ、彼女のなかにもそういうものが備わっていることが垣間見えた気がします。ですから根拠はないけれど、なんとなく彼女は大丈夫なのではと感じました」

---- 伊達さんご自身も、高校生まで普通に学校に通い、引退後もいろいろなことを経験してきました。その帰結として、今、現在テニスに強くコミットしている理由はなんでしょうか?

「なんで? ほかにやれること、ないですよ。基本やっぱり私はテニスプレーヤーであり、ある種、そこがこだわりでもある。いろんなお仕事のオファーもいただきますが、その根底にテニスプレーヤーがあるのは変わらない事実。私はやはりテニスプレーヤーであり、スポーツ人であるのは変えてはいけないと思っています。

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