伊達公子は大坂なおみのメンタルヘルス問題をどう思う。「選手にのしかかるダメージが大きいのは確か」 (3ページ目)
---- 女子では、大坂なおみ選手が注目度の高さの代償として、メンタルヘルスの問題を抱えていたことを明かしました。この問題については、どうお考えですか?
「本当に華やかなのは、トップ中のトップのひと握りで、華やかではない部分のほうが多いのが現実です。ただ、そのひと握りに対しての賞金は、1990年代に比べれば大きく上がっているし、さらにさかのぼれば、1ドルの契約金から始まったWTA(Women's Tennis Association)の歴史もある。
長い歴史のなかでテニスという競技に価値が見いだされ、賞金やスポンサー料も上がり、それによって莫大な報酬を受けている選手がいるので、ある程度の覚悟が必要というのも理解はできます。ただ、タフなことが多い状況下で、大坂選手のように耐えられない選手がいる現実もあるので......。これは非常に難しいところかなと思います。
これだけ賞金が上がっているのだから、メディア対応や会見もテニスの一部として受け入れなくてはいけないし、それと向き合う術(すべ)が求められるのは仕方ないかなと思います。ただ、選手にのしかかるダメージが大きいのは確かです」
---- 大坂選手は昨年、敗戦後の会見の在り方に一石を投じました。伊達さんご自身、やはり負けたあとの会見は嫌なものでしたか?
「すっごく、イヤですね(笑)! すっごい嫌でした。もちろん、負け方にもよりますよ。私が思っていたのは、会見をやらなくてはいけないのはわかりますが、もうちょっと時間がほしかったということです。
気持ちの整理がついてない時に、会見をやらなくてはいけないことのほうが多かったので。試合後2時間くらいでは、気持ちの整理はつかないですよ。自分でも負けた理由なんてわからないのに、やらなくてはいけないのはつらいですね。
ただ極論、次の日ならいいのかと言ったら、もう振り返りたくない心境になっているかもしれません。かといって、声明文を出すだけというのが決してベストだとは思わないです。何かしらの変化が必要かなとは思いますが、それが時間なのか、タイミングなのか......。何をもって判断するかは、人や状況によっても違うので、難しいと思います」
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