2021.06.06

錦織圭、全仏最大のヤマ場。自ら語った世界6位ズベレフとの再戦の展望は?

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 視線を落とし、次のプレーに集中していた錦織は、「ケイ、ケイ」と主審に呼び止められる声で、相手の棄権を......つまりは自身の勝利を知った。

 1回戦、2回戦でいずれも4時間戦い、体力面で不安を抱えながら迎えた全仏オープン3回戦。「今日勝つとしたら、3セット(ストレート勝利)しかないなと思っていた」という錦織は、「出だしから気合を入れて」この一戦に臨んでいた。

錦織圭の全仏4回戦の相手はまたもズベレフ錦織圭の全仏4回戦の相手はまたもズベレフ この記事に関連する写真を見る  一方のヘンリ・ラークソネン(スイス)にとっては、予選3試合を勝ち上がり、2回戦で第11シードのロベルト・バウティスタ・アグート(スペイン)を破って至った大舞台。それだけに本人も気づかぬうちに、心が身体を限界以上に突き動かした側面もあっただろう。第1セットの第4ゲームでリターンを打ったあと、左足太ももに痛みが走る。

「なんでケガしたかはわからない。予兆もなかったのに......」とまつ毛を伏せる彼は、負傷後もプレーを続けるも、第2セットの最初のゲームで主審に棄権を申し出た。

 かくして錦織の3回戦は、思わぬ形でスピード決着を見る。

「今日はさすがに、4〜5セットは無理だと思っていた」と認める錦織にしてみれば、僥倖ともいえる勝利。とりわけ、次の対戦相手がアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)であることを思えば......。

 世界6位のズベレフとは、これが3大会連続の対戦となる。

 今季最初の対戦はおよそ1カ月前、マドリード・マスターズの2回戦。最終的に同大会を制したズベレフの爆発的な攻撃力の前に、錦織は「今までの対戦のなかでもケタ違いに強かった」と脱帽するしかなかった。

 その失意の敗戦の翌週には、早くもリベンジの機が巡ってくる。マドリードに比べて球足の遅いローマの赤土では、試合展開は大きく変わった。長いラリーが続くコートは錦織に優位に働き、ファイナルセットで錦織が先にリードする。

 だが、ここで「自分から打たなくなった」ことを後に悔い(結果は6−4、3−6、4−6で逆転負け)、それが「今の自分に足りないところ」だと俯瞰した。なお、今年の全仏のコートは「例年より速い」と多くの選手が口を揃え、錦織も同様の所感を持つ。