コロナの猛威はウインブルドンにも。
中止を決断させた「繊細な」芝問題

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

"ザ・チャンピオンシップス"。

 広く"ウインブルドン"として知られる大会の、それが正式名称である。

 国名やスポンサー名も必要としない。王座をかけて戦う大会の一般名詞である"Championships"に、唯一無二を意味する"The"の定冠詞。

ウインブルドンは芝の伝統を守り続ける唯一無二の大会ウインブルドンは芝の伝統を守り続ける唯一無二の大会 1868年に6人の紳士により、英国ロンドンの郊外に創設されたクラブで、記念すべき初のザ・チャンピオンシップスが開催されたのは1877年のこと。当時の参加者はクラブメンバーやその友人のみで、それも男子に限られた。

 そこから長い歴史を経て、大会規模は果てしなく拡大した。だが、それでも依然として大会は「オールドイングランドクラブ」によって運営され、ザ・チャンピオンシップスは"ローン・テニス(芝)"の伝統を遵守する唯一の4大大会として、威厳と矜持を堅持している。

 その伝統と格式のザ・チャンピオンシップスが、今年、中止されることになった。理由はもちろん、いまだ終息の目処の立たぬ新型コロナウイルスのためである。

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