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シャラポワ、草津から始まった
栄光への足跡。最後まで貫いた己の美学 (6ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


「プロ」であることに確固たる定義とプライドを持つ彼女は、その哲学をコート内外でも体現してきた。

 試合が始まる前にやるべきことは完遂し、ひとたびコートに足を踏み入れたなら、観衆や対戦相手に自分の弱みは見せない----。

 そのようなシャラポワの美学を、彼女のストレングス&コンディショニングコーチを長く務めた中村豊氏も、深い敬意とともに証言する。

 テーピングなどは極力避け、試合中も可能なかぎりトレーナーは呼ばない。背筋をピンと伸ばし、ひざ頭を揃えてベンチに座る姿も様(さま)になる。彼女は、いついかなる時も、世間が抱く『マリア・シャラポワ』であり続けようとした。

 禁止薬物メルドニウムに陽性反応が出た時も、そして今回の引退も、彼女はその事実や決意を自らの意志で、自分の望むタイミングで公(おおやけ)にしてきた。

 引退の手記を寄せたのは、世界最大の米国ファッション誌『VOGUE』と『Vanity Fair』。さらに、引退に先駆け独占インタビューを受けたのは、『ニューヨーク・タイムズ』紙だ。

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