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大坂なおみがコーチから受け取ったお守り。
「私たちのビジョンは同じ」 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 大坂とジェンの初対戦は、2015年ITF岐阜大会の決勝で、当時大坂は17歳、WTAランキングは227位だった。以前の大坂を知るジェンは、「動きがすごくよくなりましたね。すべてがよくなったからこそ、彼女はグランドスラムチャンピオンになれたんでしょう」と、進化を遂げた大坂を称えた。

 この時の試合で、大坂は第1セットを先取したものの、スライスを交ぜてリズムを乱す試合巧者のジェンの術中にはまってしまい、ミスを多発して敗れた。

 今回も第2セット前半で大坂がぐらつく場面があったものの、そこから立て直せたのは、経験値が上がっていることもあるが、やはりウィム・フィセッテコーチの存在が大きい。

 1回戦の直前にフィセッテコーチが、ツアーコーチとしてとても大事だと思っている点や大坂が忘れがちになる重要な点をノートに記し、その1ページを切り離すと、大坂はそれを大事そうに自分のラケットバッグにしまうという光景が見られた。大坂にとって、その1ページがお守りのような役目を果たしている部分もあるのだろう。大坂とフィセッテコーチのベクトルは一致していて、目指すはグランドスラムの頂点。グランドスラムタイトルを再び取ることができると思えたからこそ、一緒に戦うことを大坂は決めたのだ。

「ここ(メルボルン)へ来るときに、何度も自分のメインのゴールについて考えてきました。私がウィムとまず目指すべきメインゴールは、トーナメントで優勝することであり、グランドスラムで優勝することです。彼も同じことを感じていることを確信しています。私たちは、すごく似たビジョンを持っています」

 3回戦で大坂は、15歳の新鋭コリ・ガウフ(67位)と対峙する。昨年のUSオープン3回戦で大坂が勝ったのは記憶に新しく、大坂が優位に思われるが、若き挑戦者であるガウフは決して気後れしていない。

「今回私はナーバスにならないと思います。私たちはお互いのゲームをよく知っていますしね。より攻撃的にいきたいですし、自信もあります」

 昨年のニューヨークに続いて、メルボルンでも実現することになった、女子テニス界の未来を担う2人の対決から目が離せない。

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