2020.01.20

大坂なおみが「不思議な感じ」で
試合中に笑み。全豪で完璧なスタート

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 グランドスラムに楽な相手、簡単な試合など存在しないが、それにしても初戦で当たるには嫌な選手だったと言えるだろう。

 マリエ・ブズコワ(チェコ)はこの1年間でトップ10選手を3人破り、ランキングを60以上も駆け上がった21歳。豊作の世代のフロントランナーだった2014年全米オープン・ジュニア優勝者は、先をゆく同世代に追いつこうと、高いモチベーションで今シーズンを迎えていた。

試合中に笑みをこぼす余裕もあった大坂なおみ そのような状況を、大坂なおみは「とても難しかった」と認める。

「彼女とは初対戦だし、初戦はいつだって他の試合とは異なる緊張感に襲われるから」

 それに……と彼女は続ける。

「最近では、ほとんどの選手は私と対戦する時、いつもと違うプレーをするの。大概は普段より、攻撃的なプレーをしてくる。

 だから大切なのは、試合のなかで常に対処法を見つけていくこと。事前にインターネットや動画で見た相手のプレーは、あまり参考にならないから」

 自分に対しては、相手は違うプレーをしてくる――。

 これらはセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)やマリア・シャラポワ(ロシア)ら、歴代女王が口にしてきた言葉でもある。

 誰からも標的にされるという「追われる者の宿命」を背負いながら、ディフェンディング・チャンピオンは大会のオープニングマッチとなるセンターコートに立っていた。

 実際にブズコワは、大坂が覚悟していたとおり、失う者のない強みで世界3位に向かっていた。オフシーズンに高地トレーニングで鍛えたというフィジカルにも、かなりの自信があったのだろう。左右に振られても大坂の強打に食らいつき、第4ゲームではブレークポイントも手にした。

 ただ、互いを左右に振り合う激しい打ち合いを続けるなかで、むしろ大坂の硬さはほぐれ、エンジンに火が入った感がある。

 2度のデュースのあとに連続ウイナーでこのゲームをキープすると、続くゲームも立ち上がりからフォアで3連続ウイナーを叩きこむ。食い下がる相手を突き放してこのゲームをブレークすると、「オオサカ」コールに笑みを返す余裕も見せ、連続ブレークで第1セットを奪い去った。