2020.01.19

松岡修造が期待する復帰後の錦織圭。
「ゆとり」から生まれる新しいテニス

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • 佐野 隆●写真 photo by Sano Takashi

松岡修造が語る「全豪2020」後編

 2019年10月に、右ひじの手術をした錦織圭(ATPランキング17位、1月13日づけ、以下同)は、残念ながら全豪オープンテニス(1月20日~2月2日、メルボルン)は欠場となった。復帰時期は未定だが、手術した箇所が右ひじだけに、時期には慎重になるべきだろう。

錦織圭や全豪オープンに出場する選手について語った松岡修造 松岡修造は、38歳のロジャー・フェデラー(3位)や33歳のラファエル・ナダル(1位)の活躍を錦織が見て、まだまだ自分が長い時間テニスができると感じているのではないかと推測する。

「昨年の全仏からあった、(右ひじの)痛みによるモヤモヤ感を、圭は我慢しながら、70%くらいのテニスをやっていたけれど、それでは今のツアーでは厳しいとよくわかったはずです。彼の中では、痛みが100%なくならなければ、ツアーに出るべきではないと、彼自身の経験から理解していると思います」

 実は数年前まで松岡氏は、2020年東京オリンピックが、錦織にとってひとつの区切りになるかもしれないと捉えていたが、現在はさらにその先も見据えるべきだと考えが変わった。

「今回の休養によって、焦らなくていいんだ、と思ったのではないでしょうか。もっと大きく捉えるのであれば、2020もわかるんだけれども、そこで本来の実力が出なくてもいいから、ツアーに長いこと留まる選択をするための休養でもあるのではないかと僕は感じるんです」

 10年前にも錦織は、右ひじの手術をしたことがあり、その時は試合に出場できるまでに手術から約半年を要した。さらに、2017年には右ひじの大きなけがをしたこともあった。

 だが、錦織はカムバックを果たす度、さらに精神的に強くなってテニスコートへ戻って来た。

「前回けがをした時も、メンタル面でパワーアップしましたが、圭が何を心で感じて戻って来るかですね。圭はずっと、勝つためにいつも完璧でなければならないという、追い詰められているような感覚があったと思うんです。」

 長年日本テニス界のエースとして、世界のトップで戦い続けるために錦織は、目には見えない重圧とも戦ってきた。松岡氏は、元来錦織が持ち合わせている”ゆとり”を、プロ13年目に突入した今だからこそ、大事にするべきではないかと指摘する。

「今、圭は、すごく積極的にいろんなスポーツの試合を見に行っています。圭は天才だからこそ、ゆとり感覚が合っていると思う。それによって、他の選手にはできないテニスが生まれる気がします」