マリー引退で錦織圭は覚悟した。全豪ベスト8の壁を今度こそ越える
2019年最初のグランドスラムは、アンディ・マリー(イギリス)の引退示唆発言による、哀切に満ちた喧騒のなかで開幕の時を迎える。
2017年のウインブルドン以降、臀部の痛みを理由に戦線離脱していたマリーは、手術を経て昨年6月に復帰するも、以降わずか7大会にしか出場していなかった。
29歳になって初めての全豪オープンを迎える錦織圭 そして、全豪オープン開幕を3日後に控えた1月11日。マリーは、「患部の痛みが依然消えない」こと、そして「ウインブルドンまで戦いたいが、もしかしたら、この全豪が最後の大会になるかもしれない」ことを、涙ながらに語った。
このニュースを錦織圭は、「まだ受け止められていない」という。
「若いころからたくさん試合をして学んだことも多かったし、盗んだことも正直あった。まだまだ対戦するごとに学ぶことはすごくあったので、もうちょっとやりやかったなというのは正直あります」
11度の対戦を重ね、2度の歓喜と9度の学び多き敗戦を喫したマリーの引退に、錦織は哀切の情を向けた。
錦織がマリーを「お手本」としていたことは、過去のいくつもの発言が証明する。ラリーを重ねながら自分の型に相手を誘い込み、無理なくポイントを奪っていくマリーの知性を、かつて錦織は「Genius(天才)」と評した。
あるいは、過酷な連戦を勝ち切るその体力に、「信じられない」と驚嘆の言葉を漏らしたこともある。マリーとは錦織にとって、対戦するたびに自分に足りないものを突きつけられ、同時に、進むべき道を示してくれた存在だったのだろう。
錦織がマリーの強さを肌身で感じ、両者の距離を体感として測ったのが、2012年の全豪オープンだった。この大会で錦織は、初めてグランドスラムでベスト8に進出。そこに至る道のりでふたつのフルセットを戦い抜き、たどり着いた準々決勝のマリー戦では、「大会開始時を100とするなら、30〜40の体力」だったと明かした。
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