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錦織圭、「ノーシードはつらいよ」の
境遇も楽しめる自信がついてきた (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 約半年の戦線離脱を経て、今、ふたたび世界最高峰の舞台で頂点を目指し戦う日々を、錦織は「楽しんでます」と言った。

「毎試合入るのが楽しみですし、たとえ内容が悪くても、ここからは上がるだけ。自分の調子が上がってくれば、この前(モンテカルロ)みたいにマスターズやグランドスラムでも上に行けると思うので」

 上に行ける――。その言葉を発したとき、一層語気が強まった。チャレンジャーとしての気持ちでコートに向かえていることも、試合を楽しめている理由だという。

 ならば2回戦の相手にも、錦織はチャレンジャーとして、楽しみを抱きながら向かっていくことができるだろう。世界4位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は、錦織が戦線離脱した昨年8月からトップ10に定着。昨年末にはATPツアーファイナルズのビッグタイトルを獲得するなど、キャリア最高の時を迎えている26歳だ。

 2回戦で世界4位と当たるのは、ノーシードのつらさである。その点に関しては錦織も、「厳しいですね。1回戦か2回戦で必ずシード選手と当たるので、楽ではないです」と否定しない。だが同時に、彼はこうも続ける。

「優勝するにしても、どこかしらでシードとやらなくてはいけないので。ま、厳しいっちゃあ厳しいですが、ここから這い上がっていかなくてはいけない」

 今の彼が目指すのは、2回戦や3回戦進出ではない。優勝であり、ふたたびトップ8シードのつく位置まで戻っていくこと――。その錦織の意志や覚悟は「今は復帰過程か、それともケガを言い訳にできないところまで来ているのか?」と問われたときの、次の返答にも映された。

「まったくできないですね、言い訳は。(モンテカルロで)決勝まで行ってるので......あれで復帰過程と言ったらありえない」。そしてその準優勝の結果があるからこそ、「ディミトロフやトップ10との対戦も、あまり怖くなくなった」のだと言った。

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