2018.05.14

また大坂なおみレベルの才能あらわる。
16歳の内島萌夏とは何者か?

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 わずか2週間の短い期間に、内島萌夏(うちじま・もゆか)は奈良くるみが勝つ姿を見て、2度泣いた。

 1度目は、2週間前のフェドカップ(女子国別対抗戦)のとき。日本代表チームに「サポートメンバー」として帯同していた内島は、試合前には奈良の練習相手を務め、試合中はベンチから応援し、奈良が日本の窮地を救う勝ち星をつかんだときには、感動で涙した。

日本人の父とマレーシア人の母との間に生まれた16歳の内島萌夏 2度目は、5月6日に行なわれたカンガルーカップ国際女子テニスの決勝戦後。このときの内島は準優勝者として、今しがた自分を破ったばかりの奈良が優勝カップを掲げる姿を、大粒の涙を流して見上げていた。

「もゆちゃんが打つボールを見て、私のほうから試合前のアップをお願いしたんです」

 フェドカップで日本の命運がかかった試合を控えた日、奈良は16歳の少女を自ら練習相手に指名したことを明かした。

「打つボールからして、この子は違うなと。こんなこと言うと偉そうに聞こえますが、うまく育てば本当に楽しみな選手だなと思ったので」

 プロ10年の経験を持ち、世界のトッププレーヤーと幾度も戦ってきた奈良の目にも、内島の打球は世界レベルだと映る。

「この子は絶対に、強くなるだろうな……」

 実際にボールを受け、さらに確信を深めた奈良は、とはいえ「まさかこんなにすぐに決勝で戦うとは思いませんでした」と、驚き混じりの笑みを浮かべた。

 内島がフェドカップのサポートメンバーに呼ばれたのは、昨年末に行なわれた22歳以下ナショナルチーム合宿への参加が契機だった。このとき、ナショナルチームの吉川真司コーチは172cmの長身をしならせボールをクリーンに打ち抜く16歳を見て、幸福な衝撃を受けたという。

「とてもしなやかで、身体の動きに無駄がない。余計なことをせずに、ボールに力を伝える能力がある」

 その高い身体能力やボールを捕らえる天性の感覚は、「(大坂)なおみに似た才能」を想起させた。しかも試合形式の打ち合いでは、攻めるべき局面を見極めつつ、ラリーを組み立てる「ゲーム力」もある。