大坂なおみ、8連勝でストップも世界4位に学んで、より強くなる予感 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 ランキングも自己最高の22位に達した今、大坂がこの先「世界1位」と「グランドスラム優勝」の夢に近づくために必要なのも、体調管理も含めた安定感の向上だ。大坂のひと足先を似た歩幅で歩むスビトリナは、自身がいかにして「安定感」を手にしたかを、次のように説明した。

「私はテニスキャリアだけでなく、育ってきた家庭環境のなかで常に両親から『焦ってはいけない。一段ずつ階段を上がっていきなさい』と言われてきた。その考え方こそが、安定感のカギだと思う。

 困難な状況に陥ったときでも、その原因を細かく分析し、ひとつひとつクリアしながら先に進むことを心がけてきた。同時に、自分にプレッシャーをかけすぎないこと。いいプレーをするチャンスは、毎週訪れるのだから」

 スビトリナの「敗因を分析し、ひとつずつクリアしながら先に進む」姿勢は、今回の大坂戦でも存分に発揮されていただろう。大坂は2016年、スビトリナに2連勝したが、そこからは今回を含めて2連敗中。その理由のひとつを大坂は、「彼女は対戦するたびにサーブがよくなっている」点に見出した。

 またマイアミでの対戦では、スビトリナは大坂のファーストサーブが入ったときですら、40%の高確率でポイントを手にしている。この点に関してもスビトリナは、「過去の対戦経験から、彼女のサーブがどこに来て、自分は何をすべきかがある程度わかっていた。問題は、どれだけ早く慣れることができるかだったが、足を使って適応し、常にコースに入ることができていた」と言った。

 大坂にとって、今後は自らが先に進むだけでなく、張り巡らされる包囲網にいかに対応していくかも、安定した結果を残すうえでのカギになる。

 新たなステージに上がったこの先に、新たな困難が待ち構えていることは当人も覚悟しているだろう。ただ、周囲が追いすがる以上のスピードで、彼女が成長しているのもまた事実。

 8試合を戦っても「ケガも疲れもなかった」というフィジカルの向上、体調不良に襲われながらも勝利を求めた精神力、そして「もっともうれしかった」というセリーナ戦の勝利――。立ちはだかる障壁をも乗り越えていくだろうと思わせてくれるだけの財産を、彼女は前向きな姿勢とともに北米2大会から持ち帰った。

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