松岡修造が斬る全米オープン。杉田に期待も優勝争いは「この4人」 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Hitoshi Ko


「パワー勝負になると厳しい部分はあるので、力みがないといい。ムチャクチャ打つのは杉田のテニスではない。攻撃しなきゃと思い過ぎるとドツボにはまる」

 かつて松岡を指導し、今は杉田を見ているボブ・ブレットコーチは、フォアハンドストロークの高い打点で打つショットを交ぜてほしいと注文をつける。ブレットコーチは、「杉田ほど安定したストロークを持っている選手はいないし、バックのいいフィーリングを持っている人はいない」と評価する。一方で、杉田の頑固なところには、世界的なコーチでさえ根負けして、松岡に助けの電話を入れるほどだという。

 松岡は、杉田には他の日本人にはないような彼独特のモノの捉え方をするメンタルの持ち主だと感心する。

「杉田のいい意味での勘違いポジティブは、対戦相手にとって一番嫌なもの」と松岡は言い、かつて自分が現役時代に初めてプレーした時のマイケル・チャンと杉田をだぶらせる。

「(松岡がチャンより長身だったため)ちゃんと自分がプレーできれば、全部エースになるけど、ちょっと狂い始めると、ジワジワとプレーされて、マイケルのすべてが大きく見えるようになった。そういう素養が杉田にはある」

 杉田がUSオープン初出場で初勝利を挙げられるか注目だ。

 一方、日本女子では、19歳でUSオープン2回目の出場となる大坂なおみ(WTAランキング45位)に期待を寄せる。昨年は初出場ながら3回戦まで進出し、ベスト16まであと一歩のところで惜敗した。

「大坂さんは今、彼女の良さが少し消えちゃっているように思います。本来、彼女はスマッシュをバックフェンスに直撃するような、全部100%強打だった。今は躊躇しているけど、学んでいるということですよね。これまでは感性で強打したけど、今は感性じゃなくて、いろんなチョイスが見えてしまい、迷いにつながっている。彼女のテニスを見ていて、それが伝わってくる。でも、それは悪いことではありません。成長していくうえで必要なことですから」

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