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フェデラーにも祝福された杉田祐一。
ウインブルドン初勝利で進撃続く (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 さらに遡れば、当時なかなかトップ100を切れないなかで、2016年シーズンには、6月のATPシュツットガルト大会から10月のマスターズ1000・パリ大会まで合計14大会もツアーの予選や本戦にチャレンジし、少しずつ成績を残して一時90位までランキングを上げることができた。この経験と実績が、ツアー定着を目指す杉田にとっては貴重なものとなった。

「本当にチャレンジだった。ダメだったらしょうがないという昨年のシーズンだった。そこで踏ん張れたのが大きい」

 主戦場がツアーとなれば、対戦相手のレベルもおのずと高くなり、ハイレベルな試合の中で杉田はもまれて次第に実力をつけていった。

 2017年4月には、杉田が不得意なクレーコートのATPバルセロナ大会で、予選決勝で敗れたもののラッキールーザーとして本戦入りを果たし、ベスト8に進出する快進撃を見せた。

 4月以降、杉田はリシャール・ガスケ(27位、フランス)、パブロ・カレノブスタ(17位、スペイン)、ダビド・フェレール(39位、スペイン)などの実力者を破っている。トッププレーヤーからの勝利が杉田に大きな自信をもたらし、プレーのレベルが向上していく相乗効果が生まれた。持ち前のグランドストロークの安定感がさらに増し、サーブもグラスコートでは有効な武器となっている。

「(トップ選手との対戦で)勝てない時は、そこですごく消耗したし、そこで自分の波が崩れた。そういう戦いを多くこなして、非常にフラットな自分でいられる部分はある」

 アンタルヤ大会の優勝による250ポイントを獲得して、杉田はATPランキングを66位から自己最高の44位まで上げ、松岡修造の46位を抜いて日本男子史上2番目に高いATPランカーになった。

「いや、ここまで上がるとは正直思ってなかった」と杉田は謙遜しながら、「どこまで自分のレベルを安定させられるかが勝負」と、待ち受ける戦いに向けて、気を引き締める。

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